霞柱の許嫁が蝶屋敷の食事係の私だった件。【時透無一郎】

拾弐ノ話 #もう一度 ページ14

私が蝶屋敷の食事準備を終えて戻ってくると、



時透さんは再び布団に潜っていた。





天｢…時透さん｣




私は苦笑いすると、



どうせふろふき大根の匂いがすると


起きてくるだろうと思い、




またふろふき大根を作った。




ホイホイ方式ですよ？



すると見事に時透さんは起きてきた。






無｢…ふろふき大根の匂い…が、する…｣




天｢はい！朝ごはんはふろふき大根にしました｣




無｢…いただきます………

…やっぱり、君の料理は美味しいね｣



優しい笑顔で微笑むと

時透さんは私の料理をちゃんと褒めてくれた。




食事を作ることを仕事としている私には他にはない褒め言葉だ。







天｢…時透さん、1つお願いしていいですか？｣





私がポツリと呟くと時透さんは



無｢…どうしたの？｣




と聞いてくれる。



天｢………昨日みたいに…

その…ギュッてしてほしい…です………｣


いや違うの！




私は昨日の感覚が恋しくなっただけであって、


なにも時透さんに期待してるとかそんなんじゃないのだ。




そう心の中で言い訳する。







無｢…?!///｣


私が全身茹でタコみたいになっていると、


時透さんも固まっていた。




無｢…君、可愛いとこあるんだね

いいよ…？おいで｣



時透さんはまた黒い笑みを浮かべると、


昨日の夜よりも強い力で私を抱きしめた。






時透さんの長い髪が当たって少しくすぐったい。



だか、それもまた幸せなことだった。

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