霞柱の許嫁が蝶屋敷の食事係の私だった件。【時透無一郎】

拾ノ話 #泣いていい ページ11

無｢…君も………言うことあるんじゃないの…？｣




私はハッとした。



見透かされていた。





霞柱様には、全てお見通しだったのだ…。





これは言うしかないですね…霞柱様。



天｢そうですね…

お見通しだったんですね…？｣



無｢…うん…………。｣




天｢私の両親は…酷い人でした。｣



無｢ああ…君の気持ちも考えず勝手に僕を許嫁にした…｣



天｢…はい。毎日毎日殴り、蹴り…。
少しでも泣けば水につけられました…｣


天｢私にはカナヲ以外にも兄妹が沢山いましたが…



カナヲ以外、朝起きたら冷たくなっていました…。




そして、私とカナヲは身売りされ…




連れていかれる最中にカナエ姉さんとしのぶ姉さんが助けてくれたんです。




…私は…花の呼吸が使えましたが体が少しばかり弱く…



諦めざるを得なかったのです…。




私こそ…私の方こそ…誰にも必要とされていないんじゃないかなって。


…おかしいですよね…霞柱様には

そんなこと言うなって言ったのに…｣




すると霞柱様は私を優しく抱きしめ、




無｢………そんなことない。

今、僕が君を必要としてる…｣




と言ってくれた。




嬉しかった…



初めて私が必要だと言ってくれた人。







優しく頭を撫でられると、

私の目からは今まで堪えていた涙が溢れ出した。





天｢………っ！うぅッ…！｣





無｢泣いていいよ…？僕はずっとここにいるから…｣





そう言って私が泣き止むまでずっと、頭を撫でて｢大丈夫、大丈夫｣と…


霞柱様は言ってくれた…。









霞柱様は、優しかった。

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