霞柱の許嫁が蝶屋敷の食事係の私だった件。【時透無一郎】

捌ノ話 #過去 ページ9

美月side



天｢ん………今何時…？｣


外を見るとまだ暗く、夜更けのようだった。



妙に目が覚めてしまい…




厠へ行ってから





寝室へ戻る途中…



なにやら物音がし、そちらに向かってみる。







そこには…



縁側に座り、物悲しそうに月を眺めている霞柱様がいた。


まだ暗い空には丸い月が妖しく光り輝いている。




そんな霞柱様を私は見たことがなくて、

思わず声をかけてしまった。




天｢…霞柱様………？｣



霞柱様はこちらに気づくと



無｢…君か…、なんでもないよ｣




そんな霞柱様の目には涙すら溜まっているように見えた。



なんでもなくなんて、ないじゃない…





ああ…この人は私と同じなのかもしれない…




そう思い、


霞柱様の横に腰を下ろす。






少しの沈黙の後


私が口を開いた。


天｢…何かあるなら、

話して欲しいです…




ほっほら！

話したらスッキリするって言うじゃないですか？｣



私がそう言っても、霞柱様は黙ったままだった。


天｢…ごめんなさい。
私、無神経でしたね…

会ったばかりの私にそんなことを話せだなんて…｣


すると霞柱様はポツリ、ポツリと話し始めた。




少しでも心を許してくれたようで、

なんだか嬉しかった。

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