恋が芽生える瞬間 (ページ37)

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「…」

あれ

今回はうっかり言っちゃったパターンやないんやな

『俺はAを友達としてやなくて女として、好きやねん』

「…そうなん」

『うん、せやから告白される前に俺が片っ端から潰したるから』

うん

なんの宣言をされたんやろ

普通にサラッと告白的なもんをされたし

『で、好きな人って誰なん？俺の知ってる人？』

あー、コイツ
私が好きな人いるって言葉にばかり気を取られて

自分が告白的なもんをしたことに気づいてへんわ

「言わへん」

『なんでや！そいつが来てもガードできひんやんか！わかった！図書委員やろ！アイツか』

「ちゃうわ」

『じゃあ誰なん？』

コレ言わないといけないやつ？

「言いたくない」

『…』

口をムッとさせて
私を見つめてくる望

「それ、なんの顔？」

『好きな人教えて欲しいって顔』

「…気付いて」

『え、わからへん』

「この鈍感男」

家の中に入ろうとすれば

慌てて腕を引っ張られ
望の胸に収まる

「なに、」

『なんか嫌やん、喧嘩みたいで』

「別に喧嘩やないけど」

『もういい、Aの好きな人なんてどうでもいい！俺がAを落とせばいいだけなんやから』

「え」

『A、宣戦布告や…俺のこと好きにさせてやるわ』

コイツ、どこまでアホやねん

もうとっくに好きになってるっちゅうねん

苦しいほど強く抱きしめられて

体が離れたと思えば

顔が近づいてきて

思わず目を閉じれば

唇に柔らかな感触

「っ」

目を開ければ

ドアップに望の顔

え、これ

『…ふぅ』

「えっ、あ、今っ」

『おん、キスした』

「なん、で」

『好きやから…もう気持ち隠すん無理
絶対彼氏なんか作らせへんから…俺のことで頭いっぱいにさせたる…』

誰ですか、コイツに変な火をつけたの

私か？私なのか？

『ほな、明日一緒に登校しよな？迎えにくるから』

頭をポンポン撫でられ
帰って行った

「なん、それ…」

私の心臓が煩くて
顔はきっと真っ赤やろうな

私の気持ちも知らないで
アホや、アイツ

さっさと気づきやがれ