恋が芽生える瞬間 (ページ34)

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「あーあ、何でもう学校やねん」

夏休み楽しかったなぁ

『しゃーないやろ、楽しい時間はあっという間なんやから』

私が夏休みしたことといえば

図書館に行って本を借りたこと
望と海の家でバイトしたこと
日焼けしたこと
友達と遊んだこと
望と暇電を２日おきぐらいに深夜までやったこと

そんなもん

でも充実してた

『すっかり焼けたな？』

「アンタも」

私も望も日焼けして
こんがり小麦色

健康的だね

今思えばかなり青春らしいことしたな

ボーッと空を見ながらそんなことを考える

「よし、教室戻ろ」

『え、もう行くん？』

「うん、なんで？」

『まだ休み時間やん』

「せやけど、別にええやん」

『まだ一緒にいたい』

「…なんか、ほんま素直やな」

『なにが？』

コイツほんま素直に思ったこと口にするようになったせいで

心臓に悪い

急に甘いセリフ的なことをサラッと言うから

私がひとりドキドキせなあかんねん

『Aは、俺と居りたくないん？』

なんか、めんどくせぇ彼女かお前は！

イケメンやから許されるけど
これで顔そこそこやったら
ウザいなきっと

「そう言うわけちゃうけど」

『ならええやん、チャイム鳴るまでええやんここにいて』

「チャイム鳴ったら普通にアウトやろ
授業始まんで？」

『ええやん、トイレ行ってましたって言えば』

「恥ずいやろ」

『別にええやん』

まだ残暑で暑いと言うのに
私にくっついて来ようとする

「ちょ、暑いから」

『ええやん』

「暑い〜」

もう元ヤンとかヤクザって言ってた頃が懐かしい

もうアンタは完璧な大型犬や

忠犬小瀧や

『なぁ、今度の日曜遊ばへん？』

後ろから抱きつかれたままそんなことを言われる

「え、」

『ええやん！クラスちゃうし会える時間少ないんやから…それに俺ら仲ええし』

「別にええけど、急にどうしたん？」

『急やないし、夏休みずっとAと一緒やったから、なんか週末どう過ごしたらいいかわからんし』

「そうっすか」

『おん、なぁ、ええやろ？』

「ええけど」

『よっしゃ、決まりや！』

キーンコーンカーンコーン

「あ、戻らな」

『せやな、だる』