熱 ページ20
せっかくの休みなのに…
熱が出てしまった
こういう時に1人ってすごく寂しいと思う
薬ないから…買いに行かなきゃ…
フラつく足で外に出て
ドラッグストアまでなんとか歩いた
薬とスポーツドリンク、ゼリーを買って
帰ろうと歩いてると
人にぶつかってそのまま
ぐわんと視界が揺らいで
記憶がない
…
目を覚ますと
見慣れない天井があって
ただわかるのは温かいベッドの上で眠ってることだけ
体を起こすと
本当に知らない場所
『ここ…どこ?』
ホテルではない
私の家でもない
知らない人の家
周りを見渡してると
ガチャッと部屋の扉が開いた
赤「あ、目、覚ましたんや」
『…誰ですか?』
赤「あー、そっか…なんか街歩いてたら、あなたが急に倒れて、すごい熱あるし…助けました」
『あ、…そうだったんですね…ありがとうございます…ご迷惑をおかけしました…』
そう言ってベッドから降りて帰ろうとすると
赤「あ、ちょっと!まだ寝てないとダメですよ!」
肩を掴まれて座らされる
おでこに手を当てられて
赤「ほら、まだ熱あるやん」
そう言ってベッドに引きもどされた
『あの…名前を聞いてもいいですか』
赤「あ、名前言ってへんかったわ!あはは笑』
元気な人だな…
赤「俺の名前は重岡大毅!歳は26で、イベント会社に勤めてます!」
『大毅さん、色々とありがとうございます…今日お仕事はないんですか?』
赤「今日はもう終わりました!今日は定時に帰れたんで!」
今何時だろうって思って時計を見ると6時を指していた
赤「外回り中に倒れたのを発見して、家の近くやったし俺のベッドに寝かせてたんやけど、ぐっすり寝てたな?」
『ごめんなさい』
赤「ええの!少しでもよくなってればそれでええから!」
気さくに笑う
笑顔の素敵な人だ
赤「何か食べへんと薬飲めへんよな?ゼリーとか袋の中にあってんけど、それ冷やしといたで?食べる?」
『あ、じゃあ…食べます』
大毅さんはゼリーを出してくれて
目の前においてくれた
私が食べてるのをじーっと見つめてきて
食べづらい
『あ、あの…そんなに見つめられると…』
赤「あ、ごめんごめん!べっぴんさんやからつい、見惚れてもうたわ」
あははと笑いながらそう言った
よく笑う人だな
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作者名:AB | 作成日時:2019年3月18日 10時