伏黒甚爾は恩人でした

32 ページ32

You





,






『行ってくる』





「お前本気で行くのかよ」





『当たり前、私と同じ子を増やさないって決めたから』





ある夏の昼頃、私は人生で1番嫌いな場所へと向かっていた




心配してくれているのか、元は自分の住処だったからなのか、九尾も着いてくる




村への道なりは10年前とほとんど変わっていない





『ねぇ、なんか変な感じがする』





「同じく」





妙な気配を感じ取り私たちはすぐに村の入口まてやってきた。そこには少し前に見たあいつが人間に手をかけている






その光景を見て今まで感じたことのない苛立ちなどの負の感情が溢れ出てくる






こいつらが変えてくれるんじゃなかったの？





なんで非呪術師を殺してんの。自ら道を外しにいってんの





そんな色んな感情から言葉を発した時には酷く低い声が出る





『自分今なにやってんのか分かってんの？』






夏油傑は意味のわからない理想論をつらつらと並べてきた





あいつが考える世界なんてできるはずがない。でもそう考えてしまうことに無理もないのかもしれない





呪霊の祓い方や戦い方は人それぞれ、その中でも夏油傑は人より何倍もの苦労をしないと闘えない





非呪術師を嫌いになるのにも辻褄が合う





『私は非呪術師を殺してるから善人としてあんたにつべこべ言う事はできないけどこれだけは許せない



自分の大切だった人が殺すなというから何もしてこなかったのに、善人だと思っていた人間が蓋を開けたら人間を殺していたなんて信じたくない』






,

33→←31

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す