伏黒甚爾は恩人でした

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甚爾さんと共に過ごした家を掃除しようと思い引き出しの中などの隅々も片付ける






『なんだろ』





引き出しの奥に一通の手紙が入っていた






【直哉】






漢字までは分からないが読み方的になおやであっているはず。昨日会ったあの人なら渡した方がいいのかもしれない




この人がもし、前に甚爾さんが言っていた、禪院家で唯一面白いと思えた人間なのであれば届けた方がいいに決まってる




それに昨日の直哉さんの発言からすると甚爾さんを慕っているようにも感じられた





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『甚爾さんと住んでいたAというものです。直哉さんに渡したいものがあってお伺いしたのですがいらっしゃいますか？このような格好で申し訳ございません』






京都に行ったのはいいものの正装もない私はなるべく綺麗な格好をして家を尋ねた




なんとか家を通してくれたようで案内された部屋で座って待つ





「あれ、なんで来たん」





『直哉さん宛に手紙があったので』





「ふぅん。まぁこれは貰っとくわ」





少しの沈黙が続き私は口を開いた





『なんで甚爾さんが死ぬ羽目になったんだろうって今も信じられないです





散々辛い想いや経験をしてきて、やっと幸せになったと思ったのに亡くなった




あそこに居たのが私だったら、もっと早く私が着いていれば甚爾さんは生きていたのかもしれないと思うと本当に自分が情けなくて、死にたくなる





申し訳ございませんでした』








私は彼に土下座をした







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