京本家のメイドさん (ページ3)

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幼少期、私は捨てられた。

理由は多分口減らし。温かな家から冷たい外に出た時の絶望は夢に出るほど。

拾われて、捨てられて、また拾われてを繰り返して生きてきた。

どんな事でも一通り出来た私は色んな場面で重宝された。

ロンドン、パリ、アメリカと渡り歩いて今はここでお世話になっている。

そんな旅の中で色んなことを覚えた。中には乱暴してきたりする人に仕えたこともあった。

俯いて、下ばかり見ていた人生に転機が訪れる。

「ねぇ……そんなところで何してるの……？」

そう。アメリカにいた時だ。乱暴者から逃げて外の冷たさに身を縮めていたその時、同い年ぐらいの男の子に声をかけられた。

貴「死ぬのを待ってるの。」

？「……ダメだよ、おれ、、死ぬってやだもん、、
　あ、俺ジェシー、よろしくね、」

貴「ダメって言われても……行く場所がない。
　名前は… 柊木A。」

ジェシー「……俺のところ来る？家族に聞いてみる。
　ほら、風邪ひいちゃう。行こう、、！」

貴「え……？っちょっ！」

そのジェシーって子はおばあちゃんの家なんだけど、って笑いながら私を紹介してくれた。

その後、私はそのおばあちゃんの家で働くことになった。

長期休みが来る度に帰ってくるジェシーくんが楽しみで仕方がなかったのを覚えている。

ジェシー「これあげる、なんかA好きそうだから。」

ドラゴンとかかっこいいキャラクターが好きだった私。

見ているだけで自分が強くなれる気がしたからだと思う。

貰ったのは遊戯王カードだった。

お祖母様曰く彼は人見知りだから貴女を連れてきた時びっくりした、と言われて私も驚いた。

そして彼が学生最後の長期休み。話を聞くと芸能活動をしてるらしくすぐに帰るといいながらも来てくれた。

ジェシー「俺と一緒に帰って欲しい、」

俺の世話してよ、なんて慣れてないのか頬を紅くして言ってたのが印象的。

二つ返事で彼の願いを受け入れ、最後の仕事だけはさせて欲しいと頼まれていた買い物に出かけたら

タイミングが悪かった。多少の護身術位は出来たのだが薬品が染み込んだハンカチで眠らされ、拐われてしまったのだ。

今思えば凄い人生だ。

大我さんが自分の部屋に帰ったあと暖かい人に仕えたな、と頬が緩む。

それと同時にふと考えた。ジェシーくん、元気かな、って。