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20.人虎様、いらっしゃいませ。 ページ23

敦は手足を虎化させ、夜の街を駆けていた。

額からは汗が垂れたが敦は気にもしない。

敦は鋭い嗅覚で雨芽を追う。
何故こんなにも自分が必死で追いかけているのかなんて分かりやしなかった。

ただ、任務だから。

人を救わなくちゃいけないなら。

そんな感情を持たぬ、何かが頭を過った。

敦はそんな思いを打ち消すように頭を横にふる。

空は矢張、雲が覆っていて何も見えない。


ある五階建てのアパートの前で匂いが途切れた。

どうやら雨芽は上にいるようだ。


敦は少し迷った後、ベルトをズボンから外しパイプに投げた。


重みがある金属部がパイプと壁の間に挟まり、引っ張っても落ちてこなくなった。

ベルトは自分の身長のおよそ三倍程の位置で止まっており、敦はそれを伝って登り始めた

途中まできたらパイプを握りしめ、ベルトを再度上に投げる。

別に敦はこの作業をしなくても登ることが可能だった。

が、念入りにパイプをチェックしながら…。

脆い場所があればネクタイを外しくくりつけたり、シャツを破ってくくりつけたりした


もうそろそろ上へつく。

屋上へと手が届き、上へ上がることができた。

敦は直ぐにベルトをそこから外し腰へと戻し、前を向く


そこには小さく、お姉ちゃん、と呟く一人の少女がいた

震えていて手にはナイフで裂いたような跡がある

血がポタポタと着物を濡らし、その度雨芽がびくりと震える

雨芽は普段の余裕のある大人ではなくなっていた

弱く、脆く、儚い。

ただの子供だった

弱い、小さな子供。


突然、敦が服の裾を破った

敦は雨芽の手を取ると丁寧に破った服の裾を巻いた。

そして雨芽の体をゆっくりと自分に寄せ、抱き締めた。

柔らかく、強く、優しく。

雨芽は驚いた顔をした後に穏やかな微笑を浮かべわっと泣き出した。

敦はそんな雨芽の頭を柔らかく撫でながら大丈夫、と繰り返す。

空には光輝く月がはっきりと見えた

21.朝陽、いらっしゃいませ。→←19.犯人様、いらっしゃいませ。



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ミレー - ラムさん» いえいえ大丈夫ですよ(*^□^*) 此れからも楽しみに待ってます(。-∀-) (2019年12月8日 10時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» ♯41に恐らくあります.......。更新の間が空いてしまい、読みづらくなっていてすみません、(リア友宛で頼まれた小説を書いてるもので) (2019年12月7日 8時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - 中也様最後に何を言ったのでしょうか?(。-∀-) 続き楽しみですv(・∀・*) (2019年12月7日 7時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - ラムさん» ありがとうございます(≧∇≦) 楽しみですσ(*´∀`*) (2019年11月22日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» まぁいとこですけどね笑笑 続きは更新しますよー (2019年11月21日 18時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:少女F(旧ラム) x他1人 | 作成日時:2019年7月8日 0時

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