14.嘘ですね、いらっしゃいませ。 ページ14
「彼に異能力を発動されては困るのだよ、だから止めなかったんだ」
「__太宰、だからといって殺す必要はねぇだろうが」
「マフィア幹部が何温いこと言っているの?犯人は殺さなくてはならない、とルールにも書いてあるのだよ…?中也、いつのまにそんなことも分からないような下等な奴になっていたんだい?」
太宰の瞳に光はない
中也は瞬間的に体を強ばらせた
昔の太宰を思い出したからだった
「落ちぶれたつもりはねぇ、殺すにしても窓のねぇ地下牢にぶちこんで拷問すりゃあボスの存在を吐くかも知れねぇだろ?」
「さぁね、少なくとも涼太君は吐かなかっただろうね。
彼はあの組織の飼い慣らされた犬なのだから
だけれども_」
太宰がすっと息を吸い、切なげに瞳を細めたあと理解の追い付かない雨芽の方を向き、無表情にこういい放った
「………彼は君のことが好きだったのだよ、雨芽ちゃん」
太宰が静かに告げた亡き者の思いは雨芽の心を強く揺さぶった
「彼からしたら、組織も雨芽ちゃんも大切だったんだろうね。
あんなにも綺麗な満月が夜空を照らすのに、異能を使っていない。
もしかしたら、裏切って誰も殺さないなんてこともあったのかもしれない」
太宰が言う通り、夜空には忌々しい程に美しい満月が華さいていた。
『涼太っ…何で…』
止まった筈の涙がぼろぼろと頬を濡らす
膝をつき、雨芽はただ泣き崩れる
嗚咽で噎せた上に顔がぐじゃぐじゃだ
これじゃあ皆に見せる顔がない、と雨芽が笑う
自嘲気味に笑った雨芽の心はボロボロで誰にもそれを理解出来やしなかった
敦は雨芽の肩に優しく手を乗せる
雨芽が顔を覗くと
少し照れたように顔を桃色に染めて、笑みを浮かべた
それに釣られて雨芽も笑顔を浮かべる
涙がこぼれ落ちるのに
顔だけは幸福そうに笑っていた
絶望の真実が狂わしい幸福を笑う
狂わしい幸福が絶望の真実を笑う
まだ、事件は始まったばかりだ
15.日常さん、いらっしゃいませ。→←13.絶望の真実よ、いらっしゃいませ。
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ミレー - ラムさん» いえいえ大丈夫ですよ(*^□^*) 此れからも楽しみに待ってます(。-∀-) (2019年12月8日 10時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» ♯41に恐らくあります.......。更新の間が空いてしまい、読みづらくなっていてすみません、(リア友宛で頼まれた小説を書いてるもので) (2019年12月7日 8時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - 中也様最後に何を言ったのでしょうか?(。-∀-) 続き楽しみですv(・∀・*) (2019年12月7日 7時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - ラムさん» ありがとうございます(≧∇≦) 楽しみですσ(*´∀`*) (2019年11月22日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» まぁいとこですけどね笑笑 続きは更新しますよー (2019年11月21日 18時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:少女F(旧ラム) x他1人 | 作成日時:2019年7月8日 0時