【文スト】うずまきの少女は接客上手

26.捻れ合う混乱よ、いらっしゃいませ。 ページ29

『…!!?ふ、フョードル…様ッ？』


それに＿フョードルの涙に気が付いた雨芽が目を丸くする


「何でしょう」

『いえ、少し……フョードル様、どうか泣くのをおやめ下さい。』

「それは＿＿＿何故？」

『泣き顔を見てしまうと恨みづらくなってしまいますから』

「…はぁ、貴女には参りましたね。
少し席を外します」



フョードルは肩を竦めると、部屋から優雅に歩いて姿が見えなくなった

残された雨芽には疑問しかなかった

フョードルは自分が逃げ出すことを分かっていたはず、それなのに何故1人置いていった？

それも…何故、泣いていた？


『……フョードル………ドス…さん』


雨芽は少し遠い過去のことを思い出していた

姉が行方不明になった少し前、雨芽が10の頃だろうか

暗殺業に身を染めていた雨芽は1度のみ、フョードルに会ったことがあった

…姉様が16で今の私位の年頃の頃、姉様は歴代最少年幹部＿太宰治と共に海外の犯罪者グループを調べていた、正直家でも切羽詰まった姉様を見るのは好きではなかった

だからか私は姉様の仕事を少しだけ手伝おうと、夜中に海外グループの暗殺へ向かったんだ

そこで、私よりも先に暗殺を…否、殺しを行ったのがフョードル様…ドスさんだ。

その後、自販機で珈琲を買い2人で公園のベンチの上互いの価値観を交換した

案の定意見は噛み合う部分があった

異能者の殲滅、罪への粛清。

私には少なからず理解出来る部分があった

＿＿命の価値を変えてしまう異能をこの手で消し去りたいのです

そういった6年前のドスさん

…その表情はいくら暗殺を積み重ねたと言えど恐ろしいと心の底から言えるものだった

なのに…泣いてる？


私の疑問は捻れあって頭の中を停止させた

勿論、異能も持たない私には……理解することなんて出来ないことは分かっていた

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