君が見えない【リーマス】 ページ16
クリスマスイブ。
グリフィンドールの談話室に、僕三人は暖炉の前でココアを飲みながら話していた。
「クリスマスってやっぱりワクワクするよね。どこもかしこもキラキラでさ。」
「まぁ、そうだな。街は確かに楽しいが、俺は親戚一同が集まるのが嫌なんだ。」
「だからシリウスは学校に残ったのね。」
ブラック家はかなり厳しく、家柄を大切にするらしい。
だからこそ、そういう集まりをするのだろうがシリウスは確かに苦手そうだ。
「リーマスは去年、プレゼントは何だったの？」
「僕は、時計だったよ。お母さんが選んだんだ。茶色に金色のやつ。」
「あ！たまに休みの日に付けてるやつね。」
「そうそう。」
クリスマスプレゼントは、毎年母が選ぶ。
お母さんはセンスが良くて、毎年僕のお気に入りになる。
「シリウスは？」
「あー…母親からよくわからん気持ちの悪い本があったぜ。読んでないけど。」
「…なんか、ごめん。」
「いや、あの家がおかしいだけだ。」
なんというか、気まずい。
「Aは何か貰った？」
「うん。物では無いけど、毎年少し遠くの街まで連れて行って貰ったわ。もちろん、人間の姿で、昼間だけ。そこでご飯を食べて夕方には帰るの。」
「へぇ、ランチも楽しいよね。誰と行ったの？」
「それが、わからないの。」
Aはそう言った。
毎年、毎年行っているのに、誰かわからないなんてどういうことだろう。
「思いだせないの。手を繋いだ人が。男の人で、背が高くて、真っ黒の服を着ていたって小さい頃は言っていたそうなんだけど。帰ると、まるっきり記憶がないの。誰と行ったのかっていうところだけ。」
「…例の育て親の狼さんは何て言ってたの？」
「毎年、心配してた。探し回ってたらしいの。クリスマスにだけ、私がいなくなるから。どつやって誰と行ったのかって。」
でも、どうしてもわからなかった。
Aはそう言って、俯いてしまった。
街自体は楽しくても、それは怖いだろう。
「…クリスマスプレゼントじゃねぇのか。神様のさ。」
シリウスがそう言った。
「もし、誰であってもそうやって飯を食った記憶が楽しいってもんならいいんじゃねぇの。」
シリウスはたまに良いことを言う。
「そうね。そうよ、神様よ。プレゼントなのよね。」
Aは顔をあげ、ニコリと笑った。
でも、僕には突っかかってしまった。
君はどうやってアニメーガスになって、
どうやって生きてきたのか。
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作者名：とわ | 作成日時：2021年1月31日 22時
