狼の子【リーマス】 ページ13
Aが図書室から借りてきたというその本は、『魔法動物危険度別辞典第一巻』と書かれていた。
危険度レベルxxxxxととも書かれている。
この本を探していた？
狼人間の危険度は、魔法省が危険度xxxxxと定めている。
僕は狼人間だから、もちろんそこに分類されている。
三日前、僕が満月の日の翌日帰って来てからAは図書室に入り浸っていた。
タイミングが良すぎる。
そのタイミングでこの本を探していた。
そしてさっき、僕からこの本をそっと隠そうするそぶりがみえた。
現に今は、後ろに隠すようにして持っている。
ばれている。
おそらく辞典ということは、僕が狼人間であるということはまだ分かっていない。
でも、魔法動物にいきついている。
もう、時間の問題だ。
「…リーマス？」
「その本、なんで…」
「あ…」
やっぱり、僕の事だ。
目線をそらした。
いつもは、こっちが照れてしまうほど見つめてくるのに。
「……僕の事、なんでしょ？」
Aは軽く唇を噛んだ。
「…ごめん、リーマス。勝手に探りなんて入れて。」
「いや、構わないよ…」
嘘だ！
もう友達では居られない！
ホグワーツの生徒では居られない！
また全てを無くしてしまった。
「リーマスは、きっと…何か隠しているよね？」
もう、もういい。
11歳の僕には、荷が重すぎる。
「僕は！狼人間だ…」
「！！」
そうだよね。
怖い、気持ち悪い、負の感情に襲われ僕を拒絶する。
誰でもそうだから。
「僕、嘘つきだね。友達になんて、相応しく無いのに。勝手に紛れこもうとして、君たちを危険に晒してしまった。ごめん、ごめんね。」
無理やりにでも、僕は笑わないと。
嫌なのは、向こうなのだから。
「リーマス。」
「なぁに。」
「私、あなたの事好き。」
「え？」
「何を言っているんだ！A、僕は狼人間なんだよ！」
「う、うん。」
「無差別に人を殺してしまう、恐ろしい怪物だ！嫌われ者だ！僕はこの世界に居てはいけない生物なんだ！」
物凄い剣幕でまくし立ててしまう。
でも、Aは僕をまっすぐ見つめている。
「…どうでもいい、なんて言ったらあなたに失礼だけど。私からしたら狼人間なんてたいしたことではないと思うわ。だってリーマスよ？満月の日にどれだけ恐ろしくても、私の事を撫でてくれるその手は優しいリーマスのものよ。
毎朝、優しく私を抱めてくれるのはリーマスよ。
素敵ななリーマスの事、狼人間というだけで嫌いにならなくてはいけないの？」
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作者名：とわ | 作成日時：2021年1月31日 22時
