アート (ページ2)

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ボールの行方 2 ページ2

紫｢じゃ、今ボール持ってる奴からディフェンスで、持ってない奴は全力でボール奪えよ！
奪われた奴は次オフェンスに回ってな。
2分間！よーい...始め！！｣

ピッ！と至近距離で笛が大きく鳴り、思わず顔を歪める。

紫｢ごめん、うるさかったよな？｣

｢っいえ、大丈夫です、｣

紫｢神山はバスケ得意？｣

｢...全然、球技自体苦手なので、｣

紫｢そうやったか、じゃぁゆっくりやっていこな。
先生ボール持ってるから先守りやるから。
神山は、どんな手を使ってもええからボール奪いに来てや？｣

ほい！来い！
とだいぶゆっくりしたドリブルしながら手を広げる先生。めっちゃ気ぃ使われてる。こういうところが女子にモテる理由やろか。

濵田先生は確か、バスケ部の顧問だったはず。

負けず嫌いに何となく力が入って、ボールを睨みつけるように視界に入れる。
でも。何度手を伸ばしても驚くほど視界から消え去るボール。あれ、どこや。

振り返って、にっこにこの先生と目が合った。

紫｢ほらほら〜、そんなんじゃ先生からボールは奪えへんで〜？
どんな手使ってもええんやから頑張りぃや！｣

人差し指の上で器用にグルグルとボールを回して技を見せつけてくる余裕演出。

どんな手使ってもって...だめだ、考えれば考えるほど学校に来れなくなる未来しか見えてこない。

アホそうな先生やのに、頭脳でも勝てへんのか俺は。

｢せんせ、ボール欲しいです。ください。｣

紫｢そんな真正面からお願いしても無駄や笑
体育なんやから！体動かして取りに来いっ！｣

じゃぁ...と思って

｢...っ！｣

紫｢おわっ、？！｣

思いっきり抱きついてやった。