芽生えた感情 ページ15
.
"もう少し一緒にいたい"
祐希に対してこんなことを思ったのは初めてだった。
いつも一緒にいたから、かもしれないけど…
「……ほんとにいいの？」
『祐希だったら、いいよ』
でもまだこの感情が何なのか、自分でもわからない。
「いや、やっぱ悪いから駅前のカラオケで始発まで過ごすわ！笑
明日もオフだから気にしないで」
少し沈黙が流れたあと、祐希は苦笑いしながらそう答えた。
『祐希っ、』
祐希がどこかに行ってしまうと思って咄嗟に背を向けた彼のコートの袖を掴んでいた。
「え…、A？」
『カラオケは…その…危ないし、ってかそもそも祐希は代表選手だし…もし何かあったら私が祐希のお母さんに怒られちゃうよ、笑』
やっぱり引かれた？よね？…
軽々しく男の人を家に呼ぶ女だと思われたかもしれない。
でも私の気持ち云々より、とにかく祐希を野宿させるわけにはいかない。
「うーん…でもさ、そのー………」
なぜか少し恥ずかしそうに視線を逸らして人差し指で頬をかく祐希。
「………彼氏とか、いないの？…」
彼氏！？
…あ、そっか…
祐希はちゃんとわきまえてて、私を気遣ってくれてたんだ。
『、いないよ？』
「そ、そっか…じゃあ…Aが大丈夫って言うなら…今日だけ…。迷惑だけはかけないようにする、から、」
そのあと家に着くまでの間、祐希は一言も言葉を発さなかった。
昔は当たり前のようにお互いの実家に行ってたけど、それとは違ってやっぱり緊張する…よね。
『どうぞ？入って入って』
「あ、うん…お邪魔します…」
部屋に着いて祐希をリビングに案内する。
自分が呼んだくせに何だか私も緊張してきた…
リビングに入って電気をつけたら床に、テーブルに、参考書が散らばり返っていた。
昨日勉強してたらそのまま寝落ちて朝片付ける時間なかったんだった、すっかり忘れてた…
散らばった参考書を集めて隅に置いて祐希の上着を預かって玄関に掛けた。
『バスタオルと…フェイスタオル、』
タオル類はこれでOKで…
あとは洗面台と浴室に髪の毛とか落ちてないかな…
…………よし、大丈夫そう。
って、彼氏が泊まりに来たみたいに気にしてるじゃん私…！！
いや、そんなこと考えてないで早く着替えて祐希にシャワー浴びてもらわないと。
確かもうすぐ代表戦があるはず。今風邪を引いたら練習や試合に支障が出る。
祐希は今後の日本を背負う中心になる人なんだから…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 246人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nina(プロフ) - RIOさん» RIO様 ありがとうございます！がんばります(^^)！ (2022年1月30日 22時) (
レス) id: 1ff1a23912 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 小説読ませてもらっています！ほんっまに石川くんカッコいい……この作品めっちゃ好きです！笑 更新頑張ってください！ (2021年11月7日 1時) (レス) @page4 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nina | 作成日時：2021年8月10日 6時
