氷上で煌めく太陽８ (ページ8)

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３５１話《世界選手権2014　女子SP》ページ8

女子ショート当日の朝。

本番前の最後の練習で、曲掛けで調整をする。

正直言って、オリンピックのときのようなキレは戻ってきてない。

それでも、今の私が出来る最高の演技をしよう。
練習前にブライアンとトレーシーとそう話をした。

とにかく後悔しないこと。
結果がどうあれ、最後まで諦めないこと。

今朝、ゆづくんとハビが｢今日は時間が合わなくて会えないから｣と、練習に向かう前に見送りをしてくれた。

頑張るんだよ、テレビの前で応援してるから。と２人はハグをしてくれて、その笑顔に少し元気をもらった。

２人がこうやって応援してくれるんだもん。頑張ろう。

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オリンピック以来、約１ヶ月ぶりの大舞台。

いつもどおりのルーティンをして、気持ちを落ち着ける。

バイオリンの音色が響き渡る会場で、私のシニア２度目の世界選手権が始まった。

最初のトリプルフリップはちょっとステップアウト気味に。

コンビネーションジャンプは２回めのジャンプで高さが足りなくて、回転不足。

最後のアクセルはきちんと降りれたけど、ＧＯＥは期待できないかも。

ステップでは足が重くて、到底納得のいく出来じゃなかった。

フィニッシュポーズをとって、演技終了。

こんなに長く感じたショートは初めてかもしれない。

いつもより息があがってる。

くやしい。
コンディションを万全に出来なかった自分が情けない。

グッと唇を噛みながら、リンクサイドにあがる。

ブライアンは｢よく頑張ったね｣と肩を抱いて労ってくれるけど。

数字というものは、容赦なく現実を突きつける。

私の得点は70点には全然届かなくて、その後の滑走者が次々と70点超えを決めていく。

最終的に、ショートプログラムは6位になった。
1位は真央ちゃん。明子さんが4位。

試合後のインタビューで、記者たちは容赦ない質問をしてくる。

『オリンピック後、日本で練習していたそうですが調整に失敗したということですか？』
『ソチで金メダルを獲って満足して、モチベーションがあがってなかったのでは？』
『1位の浅田選手とは10点以上の開きがあるが、これが本来の実力ということなのか？』
『羽生選手も1位の町田選手と7点の差があるが、二人揃ってコンディションが万全では無いのは、金メダリストとしてどう考えているのか』

責め立てるような質問の嵐に、どう答えたかはっきり覚えていない。