氷上で煌めく太陽８ (ページ4)

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３４７話《世界選手権2014　男子SP》ページ4

｢……｣

やっぱり、自分の演技よりも誰かを応援するときのほうが緊張するな……。

いま、テレビ画面に映るのはリンクで演技をするゆづくん。

最初の4回転トゥループで転倒した時は思わず｢ああっ！｣と声が出てしまった。

だけどその後のゆづくんはいつも通りで、トリプルアクセルの着氷は最高にキレイだった。
トリプルルッツとトゥループのコンビネーションジャンプもバッチリ。

失敗しても落ち着いて次の演技ができるメンタルはすごい。
私にはまだ足りないスキルだなあ。

大好きなステップシークエンス。
相変わらずキレッキレで、ヘランジでもしっかり審査員にアピール。

フィニッシュ後のゆづくんは、転倒もあってか苦笑い。
得点も町田さんには届かず、最終的にはハビにも抜かれてショートは3位になった。

―――――――――

｢暇だな｣

男子ショートが終わって、ゆづくんたちはフリーの滑走順の抽選があるからすぐには帰ってこない。

今回は真央ちゃんと明子さんは違うホテルに泊まってるから、話し相手もいない。

でも寝るにはまだ少し早いしなあ。

あ、昌磨くんにLINEしてみようかな。

桜の写真送ってみよ。

スマホを手にとって、昌磨くんとのLINEのトーク画面を開く。
『桜、キレイだったよ！』というメッセージと一緒に、桜の木の前でゆづくんとふたりでポーズを取ってる画像を送信した。

この画像、トレーシーが撮ってくれたんだけど結構お気に入りなんだよね。

するとすぐに昌磨くんから返信がきた。
ここからしばらく、昌磨くんとLINEのやり取りが続く。

昌磨《めっちゃ満喫してんね(笑)ゆづくんもAちゃんも超楽しそう》

《でも今はホテルに一人だから暇なの》

昌磨《それで俺に相手になれと？》

《正解！だってまだ寝るには早いでしょ？》

昌磨《まあ……でもAちゃん、明日ショートでしょ？なんかやることとか無いの？》

《無い。準備はもうできたもん》

昌磨《てか、文字打つの面倒くさい。電話じゃだめ？》

《いいよ！私からかけるね〜》

も〜。昌磨くんは面倒くさがりなんだから。
でも昌磨くんらしいな、なんて思いながらLINEの無料通話をタップする。