氷上で煌めく太陽８ (ページ30)

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３７３話【結弦side】ページ30

世界選手権が終わった翌日、俺はアイスショーのために名古屋へ、Aちゃんは上京してるという家族がホテルまで迎えに来てくれる。

名古屋に向かうまでまだまだ時間があるから、Aちゃんの家族が来るのを一緒に待つことにした。
久しぶりにAちゃんのお母さんにも会いたいし。

結弦｢そうだ。お兄さん、大学合格おめでとう｣

前に、Aちゃんのお兄さんが建築士を目指して早大受験をするって聞いてたんだ。
一般選抜って言ってたから、ちょうどオリンピックと受験が被るね、って話してたんだよね。

｢ありがとう。なかなか連絡こないから、落ちたのかと思ってた(笑)｣

結弦｢入学金も学費も払い終えて、入学を確実なものにしたら教える……って、なかなか面白い発想だよね(笑)｣

｢うちの両親、たまに抜けてるところあるから。ちゃんと安心できるまでは言いたくなかったみたい｣

結弦｢抜けてるって(笑)Aちゃんは、そのDNAを受け継いだんだね｣

｢なにそれー！失礼！｣

結弦｢褒め言葉だよ(笑)｣

褒められてる気がしないよ！と頬を膨らますAちゃんが可愛くて、怒られてるのについ笑ってしまう。

するとAちゃんのスマホが着信を知らせた。

｢あ、みんな着いたみたい。……もしもしお母さん？……うん。部屋はこのあいだ教えた番号のままだよ。……あ！ゆづくんもいるけどいい？……うん、じゃあ待ってるね！｣

結弦｢今からAちゃんの家族がくるの？｣

｢うん。部屋番号は教えてあるから、みんなで今ここまで来るって｣

結弦｢俺、ここにいていいの？｣

｢全然いいよ！ゆづくん、うちのお母さんに会いたいって言ってたじゃん。お母さんもゆづくんに会いたがってたし｣

結弦｢じゃあ、遠慮なく。Aちゃんのお母さん、面白いから会うの楽しみだな｣

｢それ、お母さん聞いたら喜ぶよ(笑)可愛いとか綺麗って言われるより、面白いって言われるのが一番嬉しいっていつも言ってるから｣

結弦｢そうなの(笑)Aちゃんのお母さんって関西出身とか？｣

｢違うよ。うちの両親、秋田出身だから｣

結弦｢え！そうなの！？俺と同じ東北じゃん！なんか嬉しい。親近感沸く｣

｢それ、お母さんも言ってた(笑)『結弦くんは私と同じ東北出身だから、親近感沸いちゃう』って｣

初めてAちゃんの家族の話を聞いた。
そういや、こういうプライベートな話ってしたこと無いなって思って、Aちゃんの新しい一面を知ることができてちょっと嬉しい。