氷上で煌めく太陽８ (ページ12)

今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:134,676 hit

３５５話ページ12

｢ゆづくん！ハビ！おつかれさま！｣

結弦｢あー、Aちゃん。トレーシーも。おつかれさま〜｣

ハビ｢A！ただいま！｣

試合が終わってホテルに帰ってきた２人を、トレーシーと一緒に出迎える。

｢ハビ、3位おめでとう｣

ハビ｢ありがとう。ユヅルに勝てなかったのは悔しいけどね｣

そう言っておちゃめに笑うハビは、なぜかゆづくんに向かってウインクしてる(笑)

｢ゆづくん、優勝おめでとう。町田さんとの点差にびっくりだよ(笑)｣

結弦｢ありがと。初めてのワールド優勝だよ。点差はね、俺もびっくりした(笑)｣

ゆづくんは目を細めて笑いながら上着の中から何かを引っ張り出すと、嬉しそうに首に下げた金メダルを見せてくれた。

結弦｢触っとく？なんかご利益あるかもよ？｣

｢いいの？｣

結弦｢うん。首から下げるのは、Aちゃんが自分の力で獲ったメダルのほうがいいと思うから、触るだけ｣

｢じゃあ、遠慮なく｣

ゆづくんが一旦首からメダルを外して、私が見やすいように目の前に差し出す。

手のひらに収まるサイズのメダルは、とてもキラキラと輝いていて。
物理的な重み以外にも、世界一の証としての重みがあるような気がした。

じっとメダルを見つめていると、メダルを載せた私の手が、フワリとゆづくんの両手で包み込まれるような形になった。

結弦｢明日、Aちゃんがいい演技が出来ますように。……よしっ。念送っておいたから、これでバッチリだよ｣

ハビ｢ユヅルばっかりずるいよ。僕だってAの力になりたい。A、僕はどうしたらいい？｣

｢え〜？ハビは……その笑顔で頑張れ、って言ってくれたら、それでじゅうぶんだよ｣

ハビ｢そんなのでいいの？なんならハグとか、頬にキスしてあげるけど？｣

｢それはやめとく！｣

ハビ｢Aはつれないなあ(笑)じゃあ、僕のとびっきりの笑顔でエールを送るよ！｣

Aならきっと素敵な演技ができるよ。

そう言ってハビは、ハグでもキスでもなくてウインクを飛ばしてきた(笑)
どこまでも陽気な人だな、ハビは。

トレーシー｢ユヅとハビにこんなに応援されたら、明日はきっといいことが起きるわよ｣

頑張らなきゃね、というトレーシーに、そうだね、と頷いて答える。

明日のフリー、後悔のない演技ができるように頑張ろう。
応援してくれたゆづくんとハビのためにも。