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5話【結弦side】 ページ5

達成感とやりきったという気持ちと、終わったという安堵と。

いろんな感情がぐちゃぐちゃに入り混じって、まだちょっとフワフワしてる感じ。

試合から一夜明けたけど、まだアドレナリンが出てるのかなってくらい気持ちが高揚してる。
お陰であんまり眠れなかったや。


昨日、興奮状態のままAに送ったメール。LINEみたいに既読がつかないから、読んだのかどうかも分からない。

スルーされた、かも?

考えてみると、オリンピックを諦めざるを得なかったAに対して無神経だったかなとも思う。
でももうメールは送っちゃったからどうにもならない。

第一俺らはもう恋人でも練習仲間でも無い。
Aがメールを読もうがスルーしようが、俺がどうこういうもんじゃないよな。


あれこれと考えていると、スタッフから「インタビューの用意が出来ました」と声をかけられる。
スマホをしまって立ち上がると、気持ちをインタビューに切り替えて会場へ向かった。



そこで海外記者からされた質問に、一瞬、どう答えようか困ってしまった。


『今回ケガで出場できなかった恋人とは喜びを分かち合いましたか?』


付き合っていることを公表したことで降り掛かった弊害を考えると、別れたことはあえて公にはしなかった。
オリンピックシーズンにあれこれと騒がれることは避けたかったし、これ以上Aが傷つくのを見たくなかった。


でももういいかな。

オリンピックという大一番を終えたし、直接的な表現じゃなければAとの距離は離れていることくらいは伝えてもいいよね。


結弦「昨年末に彼女が帰国してからお互いに連絡を取り合っていないので、それはありません」


記者たちが期待した答えと違ったのか、一瞬、会場がざわついたのがわかった。

ラブラブアピールでも聞きたかった?
期待に添えなくてごめんね。


連絡を取っていないという事実を自分から口に出しておいて、少し胸が苦しくなる。
今の俺は、記者に向かって冷静な顔を見せられただろうか。




インタビューが終わって、ホテルへの移動の車の中。
ほっと一息ついて、そういえば……とスマホをチェックする。


結弦「あっ、きてる……」


昨日高揚した気分のまま、半ば勢いで送ったAへのメール。
返事は期待していなかったけど、ほぼ1日経って返信があった。


2ヶ月ぶりのAとのやりとり。
どんな言葉が並んでいるんだろうと、少し緊張しながらメールを開く。

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設定タグ:羽生結弦 , フィギュアスケート   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:優里奈 | 作成日時:2023年10月28日 9時

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