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3話 ページ3

ゆづくんが金メダルを獲った翌日は日本中がお祭り騒ぎのようになっていった。

テレビをつけても、ネットを見ても、新聞も一面がゆづくんの金メダルを伝えていた。

街中の大型ビジョンに映るゆづくんは、インタビュー中なんだろう。
たくさんのマイクやレコーダーを前に、眩しいくらいのフラッシュを浴びながら質問に答えている。


今や時の人となったゆづくん。
その姿を見るために、足を止めてビジョンに見入る人が結構いる。



記者《Did you share your joy with your girlfriend who was unable to compete due to injury this time?》



目的地へ向かおうと歩き始めた時、ある外国人記者の質問に足が止まってしまった。



ー 今回ケガで出場できなかった恋人とは喜びを分かち合いましたか? ー


そうか。
別れたことを知らないから。

それにしても外国人記者って、こういう質問も容赦なくしてくるよね。
日本だったらすぐに阻止されるだろうに。


ゆづくんはなんて答えるんだろう。
息が止まりそうなくらいドキドキしながら画面を見つめる。


結弦「Uh, ....... We have not been in touch with each other since she returned home late last year, so that is not happening.(あー……。昨年末に彼女が帰国してからお互いに連絡を取り合っていないので、それはありません)」


その瞬間、会場が少しざわついた。

ゆづくんの言葉を聞いた人たちは、どう受け止めたんだろう。

シーズン中ならよくあることって思ったかな。
それとも、別れたって勘づいたかな。


そしてこの言葉を、ゆづくんはどんな気持ちで言ったのかな。


ふと、ポケットにしまっていたスマホを取り出して、昨日ゆづくんから送られてきたメッセージを開く。


《有言実行》


その言葉と一緒に送られてきた1枚の画像。

ゆづくんと、昌磨くんとハビ。
メダリスト3人で撮ったとびっきりの笑顔(昌磨くんは笑ってるのか分かんないけど)は、とても幸せそう。


「ふふっ。ゆづくん、鼻真っ赤だし(笑)」


どんだけ泣いたの、ってくらい目も鼻も真っ赤になっているゆづくん。
でもそれは、これまでの努力・苦労・苦悩が報われた証だと思う。

昨日はどうしても送れなかった返事を、今なら送れそうだと思ってメッセージの返信画面を開く。

ゆづくんにメッセージを送って、再び目的の場所へと向かって歩き始めた。

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設定タグ:羽生結弦 , フィギュアスケート   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:優里奈 | 作成日時:2023年10月28日 9時

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