氷上で煌めく太陽２２

１０３６話【結弦side】 ページ8

予定より少し早く目が覚めた。

もうそろそろ起きる時間だったし、このまま起きるか。


うーんと背伸びをして、軽くストレッチをする。


結弦｢……ん？｣


サイドテーブルに置いていたスマホの通知ランプが光ってるのに気づいた。
なんだろ。


結弦｢……あ！まじか！｣


着信はAからのメールだった。
リハビリが順調で、来週には退院出来るって。

トロント、戻ってくるんだ……。


結弦｢そっか。やっと戻ってこれるんだ……｣


オータムの衝突事故からだいたい１ヶ月半か。
長かったな……。


でも戻ってきても、まだまだリハビリは続くんだよな。
リンクに乗るのだってだいぶ先だって言ってたし。

また一緒に練習出来るようになるのは、とうぶん先かな。


結弦｢でも良かった……｣


経過が良好だということにはすごくホッとした。

まだスケートを続けたい、やりたいことがある。
そう言っていたから、少しでも希望が見えてきたことが嬉しかった。


結弦｢俺も頑張ろ｣


Aのいい知らせに、俺も元気もらった気分。
よっしゃ、と気合いを入れてベッドから立ち上がり、着替えて練習に向かう準備をする。

ロステレからの修正点をしっかりクリア出来れば、今回は優勝できる。

それだけの練習をしてきたんだ。

今日の公式練習では、その最終確認。


気合いを入れながら今日のタスクを整理していると、再びメールの着信。


《いい忘れてたけど、４回転ルッツ成功おめでとう！私、やっとループ跳べるようになってゆづくんに近づけたと思ったのに、また離された！》



結弦｢いつの話ししてんだよ(笑)｣


Aが言ってるのは先月のロステレコム杯のフリーのこと。

初めて試合で４回転ルッツを成功させたのを、Aはちゃんと知っててくれたんだ。
ただ、おめでとうっていいながらも、悔しいって本音が丸見えじゃねーか(笑)


結弦｢ま、それもAらしいか｣


早く俺のこと追い越してね、と返信してスマホを閉じた。


結弦｢よっしゃ。いきますか｣


この大会でもルッツを成功させてやる。
そう決意を新たにして、公式練習のために会場に向かった。

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