氷上で煌めく太陽２２

１０３４話 ページ6

ロステレコム杯、ゆづくんは銀メダルだった。

やっぱショートのジャンプが響いてるのかな。
きっと悔しがってるだろうな。



私はというと……


｢っくぅ〜……！｣

姉｢Aってそんなに痛みに弱い子だったっけ？｣

｢それだけ痛いってことだよ……もう、しんど……やだ｣

姉｢まだ２日目なのにもうギブアップ？早すぎ。ほら、やるよっ｣

｢鬼……｣


弱音を吐いたり愚痴ったりしながら、なんとかリハビリ中。
これがずっと続くのかと思うと泣きたくなる。


姉｢痛いのは今だけって先生言ってたでしょ？だからもう少しの辛抱だよ｣

｢お姉ちゃん、私の考えてること分かるの……？｣

姉｢何年Aのお姉ちゃんやってると思ってんの｣



そんなやりとりをしていると、メールの着信音が鳴った。
誰からだろ、とスマホを確認すると、


｢あ、ゆづくんだ……｣

姉｢あら。別れたのに普通にそういうやり取りしてるの？｣

｢まあ……練習も一緒だし。今ロシアで試合してたから、それで｣

姉｢そっか。リハビリは一旦終わりにしよっか。また２時間後ね｣

｢りょーかい｣


そう言うと、お姉ちゃんは洗濯してくるね、と病室からすぐのランドリースペースへ向かった。


一息ついてメールを開くと、たった一言。

《手術どうだった？》


｢みじかっ！｣


思わず画面に向かってツッコんでしまった。

いつも｢今日は〇〇だった｣とか｢ハビが〜｣とかいろいろ送ってくるのに。
てっきり、今回も試合のことかと思ってたけど。


｢無事に終わって、リハビリ始めてるよ……っと｣


私も簡潔な文章にして返信する。
あとは聞かれたら答えればいいや。


少ししてゆづくんから返ってきたメールは《そっか。痛いかもだけど頑張れ！》とこれまた短かった。

ずいぶんあっさりだなあ。
ちょっと拍子抜け。


｢でもまあ、今はこれくらいでいいのかな｣


もう付き合ってるわけじゃないし、今はシーズンが本格化して試合が続くし。
私よりスケートに集中しないといけないしね。


そうじゃないと、なんのために別れたのかもわからなくなる。

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