1051話 ページ24
「……」
ゆづくんの家の前まで来たけど。
いざとなるとこの先に進む勇気が無い。
クリケットをやめること、言わなかったの怒ってないかな?
もしかしたら今日、ケンカ別れなんてこともあり得るかもしれない。
そう思ったら怖くなってしまった。
自分で蒔いた種なのに虫が良すぎる。
ちょうどいいじゃん。
ゆづくんにはスケートに集中してもらいたいもん。
ここできっぱり関係を終わらせて、ゆづくんの前からいなくなればいいんだ。
嫌われてしまったほうが、サヨナラもつらくないはず。
??「あら?Aちゃん?」
「わあっ!」
悶々といろんなことを考えていたら、背後から急に名前を呼ばれてビクッと肩が跳ねた。
「あ……どうも……」
私を呼んだのは、ゆづくんのお母さん。
なんだ……家の中にいるんじゃなかったのか……。
ちょっと想定外の出来事に動揺しつつ、悟られないようにぺこりと頭を下げる。
母「ゆづに会いに来たんでしょ?」
「はい……」
母「……会いづらい?」
「えっ?」
母「別れたんでしょう?ゆづから聞いたよ」
「あ、あの!」
母「Aちゃんごめんね。ゆづ、すぐに教えてくれないものだから。まだ付き合ってるんだと思っていろいろ失礼なこと言っちゃったかもしれないって思って」
「そんなこと無いです。気にしないでください」
母「そう?……ここは寒いから、中に入ろう?」
ゆづくんのお母さんに促されて、ガチャリと開いた玄関の向こうへ入る。
するとそこには、待ち構えるゆづくんの姿。
結弦「ドアの向こうから話し声がしたから、来たのかなって思って。まさか母さんも一緒だとは思わなかったけど」
「うん。そこで、一緒になって」
母「ほらほら。立ってないでリビングに行こう。外寒かったから何か温かい飲み物淹れるね」
そう言うとゆづくんのお母さんは忙しなく奥の部屋に行ってしまった。
玄関先には、私とゆづくん2人きり。
なんか、気まずい。
ゆづくんの顔を見れない。
彷徨わせた視線を下に落とすと、ガッチリ固定されたゆづくんの足が目にとまった。
その痛々しい姿は、見てるだけで心がギュッと苦しくなる。
もう、何回痛めたのかな。
傷だらけでボロボロの、ゆづくんの右足。
だけどめちゃくちゃキレイな4回転ジャンプを跳んで、誰にも真似できなさそうな超絶技巧のステップワークを繰り出す右足。
スケートの神様は、どうしてゆづくんに思うようにスケートをさせてくれないんだろう。
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優里奈(プロフ) - エミルさん» エミルさん、ありがとうございます(*^^*)さっぱりしすぎたかなーと思ったんですが、あんまり深堀りしていくとお話の流れがめちゃくちゃになっちゃいそうな気がしたのでスパッと完結させました(^^)続編の期待、嬉しいです♪近いうちに、書き始めようかと思ってます(^q^) (10月2日 22時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 優里奈さん、完結おめでとうございます!え、ここで!?と思った一人です(笑)最後はちょっと切ないですね。でも、続編あるかも……ということで期待しています! 優里奈さんの描く羽生さんとヒロインちゃんは可愛かったので、また会えると嬉しいな。 (10月2日 21時) (レス) @page28 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
優里奈(プロフ) - りいなさん、コメントありがとうございます!驚きましたよね〜( °_° )でも羽生くんの人生が幸せで溢れてくれるならそれでいいです(*^^*)お話は亀更新だけど書きたいことはずっと前から決まってるので、それを書くまでは続けます♪楽しみにしてくれて嬉しいです(*´`) (8月5日 23時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
りいな - いつも楽しく読ませて頂いています!羽生くんの結婚を聞いて私も作者さんみたいに驚いてしまいましたけど、やっぱり本人の幸せが1番ですよね。これからの活躍にも期待大です。この作品も継続されるという事で嬉しい限りです!これからも更新楽しみに待っています! (8月5日 22時) (レス) @page18 id: 91595a05fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優里奈 | 作成日時:2023年6月12日 12時