１０４３話 ページ15
あれから2人でお姉ちゃんたちのところへ行って、私達もランチを食べてから病院をあとにした。
ゆづくん、思ってたより弱ってたな。
そりゃそうか。怪我したんだもん。
試合を目前にして、大事な大事な右足を痛めて。
ましてやそれが、オリンピックシーズン。
オリンピックはおろか、選考会となる全日本選手権にも出られるか危うい状態なんだもの。
ラウンジから出る間際、私の手を掴んだゆづくんは何かに縋るような目をしていた。
ほんの一瞬だけど。
｢ねえお姉ちゃん。私さぁ……｣
病院を出て家に着くまで、ずっと考えていた。
私とゆづくん。
お互いにケガをして、試合に出れない状況で。
お先真っ暗……って言ったら大げさだけど、決して楽しいとか充実した日々ではなくて。
痛みや葛藤と戦いながら見えないゴールを目指している気分。
いつも通りに接しているつもりでも、どこかで気を遣っているのは私もゆづくんも同じだった。
これからもそんな状態でいいのかな？
そう悶々と考えていて、ある結論にたどり着いたんだ。
｢私、日本に帰ろうかなって思ってる｣
そう言うと、荷物の整理をしていたお姉ちゃんが手を止めてこっちを見た。
私の真意を探ろうとしているようなお姉ちゃんの視線に、負けじと目を逸らさないで見つめ返す。
姉｢それは……一時帰国じゃなくて？｣
｢うん。クリケットもやめて、日本に戻ってリハビリをする。その後は拠点を日本に戻そうと思う｣
別れたあと、漠然と考えていたこと。
それが衝突事故をきっかけに真剣に考えるようになって。
今日、ゆづくんに会ってその気持ちがより強くなった。
姉｢それはどうして？｣
｢それは……そのほうが、私にとっても、ゆづくんにとってもいいと思ったから｣
姉｢二人は今までずっと一緒に頑張ってきたじゃない。いくら別れたとはいえ、今さらそんなことしなくてもいいんじゃないの？｣
｢今だからだよ。別れたのに、それ以外は何も変わらない。いつも通り顔を合わせて何も無かったかのように会話して。最初はそれでいいって思ったけど、これじゃダメだって気づいた。私達は一緒にいちゃいけないって。無意識にお互いを求めてしまいそうになる｣
姉｢じゃあ、もう一度やり直したら？お互いに求めてるって分かってるなら問題ないんじゃないの？｣
｢それじゃダメなんだよ｣
やり直したら、きっとまた同じことを繰り返す。
周りの言葉や態度に神経を尖らせて、心をすり減らすのは避けたいんだ。
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優里奈(プロフ) - エミルさん» エミルさん、ありがとうございます(*^^*)さっぱりしすぎたかなーと思ったんですが、あんまり深堀りしていくとお話の流れがめちゃくちゃになっちゃいそうな気がしたのでスパッと完結させました(^^)続編の期待、嬉しいです♪近いうちに、書き始めようかと思ってます(^q^) (10月2日 22時) (
レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 優里奈さん、完結おめでとうございます！え、ここで！？と思った一人です(笑)最後はちょっと切ないですね。でも、続編あるかも……ということで期待しています！ 優里奈さんの描く羽生さんとヒロインちゃんは可愛かったので、また会えると嬉しいな。 (10月2日 21時) (レス) @page28 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
優里奈(プロフ) - りいなさん、コメントありがとうございます！驚きましたよね〜( °_° )でも羽生くんの人生が幸せで溢れてくれるならそれでいいです(*^^*)お話は亀更新だけど書きたいことはずっと前から決まってるので、それを書くまでは続けます♪楽しみにしてくれて嬉しいです(*´`) (8月5日 23時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
りいな - いつも楽しく読ませて頂いています！羽生くんの結婚を聞いて私も作者さんみたいに驚いてしまいましたけど、やっぱり本人の幸せが1番ですよね。これからの活躍にも期待大です。この作品も継続されるという事で嬉しい限りです！これからも更新楽しみに待っています！ (8月5日 22時) (レス) @page18 id: 91595a05fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優里奈 | 作成日時：2023年6月12日 12時
