８５３話【結弦side】 ページ21
全日本選手権が終了したあと、来年行われる四大陸選手権と世界選手権の代表が発表された。
四大陸も世界選手権も、男女ともに同じメンバー。
男子は昌磨、刑事、そして俺も選出された。
女子はA、宮原さん、樋口さん。
条件を満たしているとはいえ、代表選考会を欠場した身で選出していただいたのだから、全力で頑張らなくちゃ。
《私も四大陸は何が何でも出るよー》
三度目の正直！と電話越しに息巻くのは、大会を終えてホテルに戻ってきたAだ。
そりゃそうか。
初選出だった2015年は公式練習中に肩の脱臼で棄権したんだ。
2016年大会は直前にお母さんが亡くなったことに連盟が配慮して不選出。
Aがシニアの大会で唯一まだ一度も出場したことの無い大会だもんな。
そういや……
結弦｢Aと一緒に四大陸出るの初めてじゃない？｣
《え？……あ、そうかも！》
俺もここ３シーズンは四大陸に出てないから気づかなかったけど、よーく考えたら初めてだわ。
結弦｢なんか、Aがシニアデビューしてからほとんどの大会一緒に出てたから不思議｣
《だよねぇ。なんか、そう思ったら四大陸楽しみになってきた！》
嬉しそうに言ったあと、でも……と急にAの声のトーンが落ちた。
結弦｢でも、なに？｣
《んー。……私と結弦が一緒だったら、またファンの人たちは嫌がるのかな、って》
結弦｢……｣
全日本でも結構すごかったし？
と困ったように薄く笑う声が耳に残る。
そうだよな。
テレビ越しに見ててもあからさまに分かったのに、現地で目の前でそれを感じ取らないわけないよな。
《しょうがない、そのうち落ち着くよ！って割り切ろうと思っても、結構難しいね》
Aは今、どんな顔で話しているんだろう。
寂しがってない？
泣きたいって思ってない？
何も出来ない俺は、悔しくて思わず唇を噛んだ。
《……結弦？ごめん、変なこと言った。困らせるつもりじゃなかったんだけど》
結弦｢ううん。大丈夫。今は話聞くしか出来ないけど、トロントで会ったときはいっぱい抱きしめるから。頑張ったねって、偉かったねって｣
《……ありがと。そのためには体調万全にしておかないとダメだよ？風邪引いたままでうつしたりとかしないでね？》
結弦｢うつさねーし(笑)｣
最後におどけて笑わせようとするあたりは、久しぶりに無邪気なAを感じられて嬉しかった。
いつもこんなふうに、笑ってスケートに打ち込めたらどんなにいいか。
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優里奈(プロフ) - アベルさん» 今後のことは色々考えているみたいですね(^^)どんなことをやってくれるのか楽しみです！まだ少し気持ちの整理がつかないけど、ここの更新も、相変わらずゆっくりだと思いますが少しづつ続けていきますね(^_^) (2022年7月20日 6時) (
レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
アベル(プロフ) - ゆづくんらしい会見でしたね。もう競技をしてる姿が見れないってなると寂しさが込み上げてきますが今後の活動をうっすら聞いて今は期待と楽しみに満ちています。どうか連載続けてください。私は待ってます (2022年7月19日 22時) (レス) @page17 id: e570546693 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優里奈 | 作成日時：2022年7月6日 21時
