２１話 ページ21
結弦｢いやぁ……今日はマジでびっくりした。まさかAに会えると思ってなかったから｣
｢私も。スケジューリング担当から渡された案件が結弦くんで、二度見しちゃったもん｣
結弦｢そういうのって、どうやって担当決めてんの？｣
｢基本的にはタイミングだけど、よく経済界や政界の大物も利用するから、そういう案件はある程度信頼度が高くて役付きの社員が担当するよ。結弦くんもその一人｣
結弦｢え！俺も入ってんの！？｣
Aが言ってる大物って、政治家や大企業のお偉いさんとかだよね。
そんな中に俺も入ってんの……。ちょっとビビるわ。
｢うん。本当なら私はその対象社員じゃないんだけど、たまたま……本当にたまたまなんだけど、担当できる人が出張だったり他の方の担当で出払ってて。『漆嶋さんなら安心して任せられるから』って｣
結弦｢へぇ。A、信頼されてるんだ｣
｢そう、なのかな｣
結弦｢そうでしょ。大役を任せてもらえるって信頼されてる証拠だよ｣
Aは仙台にいた頃から、周囲の信頼の厚い子だった。
先生からも、保護者からも。
もちろん、練習している子供たちからも｢Aおねえちゃん｣と呼ばれて大人気だった。
そんな昔の思い出に浸っていたら、あっという間に玄関に到着。
ここで、Aとは一旦さよならだ。
結弦｢それじゃあ、今日はありがとう｣
｢こちらこそ、数ある会社の中からうちを選んでくれてありがとう｣
結弦｢内見は無しになったけど、このまま直帰？｣
｢うん。内見の報告内容は適当に作らなきゃいけないけど｣
結弦｢ほんとごめんな。俺のわがままで振り回して｣
｢ううん。ちょっと早く帰れるからラッキーだよ｣
そう言ってちょっと茶目っ気を見せて笑うAに、俺もつられてフッと笑う。
あー、この穏やかな時間の流れいいわぁ。
次々と思い出すAとの仙台での思い出に、懐かしさと安心感を覚えた。
でももう本当に今日はタイムリミット。
さすがに俺もここを出てホテルに戻らなきゃだし、Aをズルズルと引き止めておくわけにいかない。
結弦｢気をつけて……、って子供じゃないから大丈夫か｣
｢そうだよ(笑)これでも私、26だよ？｣
結弦｢俺の中ではずっと14歳のAのままだったからさー｣
｢じゃあ、これを機に26歳の漆嶋Aを覚えてね｣
結弦｢りょーかい(笑)｣
じゃあ次はリモートで。
そう約束を交わして、12年ぶりの再会は幕を閉じた。
続く (更新停止中)
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優里奈(プロフ) - 鹿さん» わ！鹿さん！私、鹿さんの作品読んでます！全部読んだけど、今『嘘と真実』読み返してます大好きです！『氷上〜』はどうしても過去を無視出来なくて慎重に書いてるけど、未来のお話なら自由に書けるな〜と思って始めました(^ ^)読んでくださってありがとうございます！ (2022年2月14日 20時) (
レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！かな？大人設定の羽生さんにわくどきしています！引退後のお話なんですね。楽しみにしています。頑張ってください＾＾ (2022年2月14日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優里奈 | 作成日時：2022年2月12日 23時
