１８話 ページ18
ここはあと20分しか使えない。
でもせっかくAが上司に嘘ついてまで時間を作ってくれた。
どっか店に入るのもまずいだろうし……。
すぐに答えられないでいる俺に、Aはやっぱりね、といった顔でため息をついた。
｢結弦くんでも、後先考えずに突っ走ることあるんだね。なんでも段取り良く進めていくのかと思ってた｣
結弦｢ごめん。でも俺だってそういう時くらいあるよ｣
｢うん。なんか、人間らしいところが見れて良かった。……でも本当にどうするの？結弦くんの立場だと、そのへんのお店にフラッと入るなんてできないでしょ？ましてや、どこの誰だか分からない女と一緒なんて｣
いつどこで見られてるかわかんないもんね。と俺の側に立って考えてくれるあたり、嬉しいけどどこか壁を感じて寂しい気持ちになった。
だからといって、大っぴらにして２人で街中を歩いたりお店に入ったりはできないけど。
そんなことしたら、Aがマスコミの格好の餌食になってしまう。
こんな時、自分の置かれている状況や肩書きが煩わしいと思う。
自分が人生を掛けて得てきたものなのに。
｢やっぱり……やめとく？帰ったほうがいいんじゃない？｣
結弦｢いや、いい。せっかくAが時間作ってくれたんだもん。……そうだ。A、俺の泊まってるホテルに来てよ｣
｢……え！結弦くんの？｣
結弦｢うん。ホテルの部屋なら俺しかいないしさ。まあ、ショーの出演者も泊まってるけど大丈夫っしょ｣
咄嗟に思いついたわりには、いい案だと思う。
ホテルならここから近いし、別々に入れば怪しまれることもまず無いと思う。
｢大丈夫なの？ショーは明日もあるんでしょ？ファンとか、マスコミとかもいるんじゃ？｣
結弦｢たぶんね。だから俺が先に部屋に戻って、後からAが来ればいいよ。それにAのその格好だったら、ビジネスの相手だって言えば納得してもらえる｣
｢……ほんとに？｣
結弦｢これでも結構、周りからの信頼は厚いと思ってるんだけど｣
｢……｣
ここまで言っても、Aは不安なのかなかなか首を縦に振ってくれない。
それならもう、押してダメなら引いてみろ、だ。
結弦｢でも、どうしても無理っていうなら、残念だけど諦めるよ。仕事だけの付き合いってことでいい｣
あからさまに残念そうな顔をしてそう言うと、Aは｢待って！｣とうつむきかけていた顔を上げた。
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優里奈(プロフ) - 鹿さん» わ！鹿さん！私、鹿さんの作品読んでます！全部読んだけど、今『嘘と真実』読み返してます大好きです！『氷上〜』はどうしても過去を無視出来なくて慎重に書いてるけど、未来のお話なら自由に書けるな〜と思って始めました(^ ^)読んでくださってありがとうございます！ (2022年2月14日 20時) (
レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！かな？大人設定の羽生さんにわくどきしています！引退後のお話なんですね。楽しみにしています。頑張ってください＾＾ (2022年2月14日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優里奈 | 作成日時：2022年2月12日 23時
