１５話 ページ15
結弦｢どうぞ。そこ座ってください｣
｢ありがとうございます。あ、えっと……私、ココリラ・エステート本社からまいりました、……｣
結弦｢？｣
担当者の女性は名刺を手にしたまま、急に気まずそうな顔をして口ごもる。
そして、意を決したように言葉を続けた。
｢……失礼しました。本日担当させていただきます、……漆嶋です。よろしくお願いします｣
ペコリと頭を下げる彼女を見て、今度は俺が固まってしまった。
漆嶋？
え、まさか。
いや、人違いってこともあるか。
でも……漆嶋なんて苗字そうそう居ないぞ。
それに小柄なところと、この……鼻にかかったようなちょっと甘ったるい感じの声と話し方。
戸惑っている俺の心情を察したのか、向かい側に座る女性は困ったように小さく笑った。
｢……久しぶりだね。結弦くん｣
結弦｢は……あは……っ。まじで？……A、なの？｣
｢そうだよ。これで信じてくれる？｣
握られた手からテーブルにそっと置かれたものを見て、思わず｢あっ、｣と声が出た。
そこには、ところどころ色は剥げてるけど、水色のクマのキーホルダーがコロン、と転がっていた。
これは、俺とAのおそろいのやつ。
俺が白いクマで、Aが水色で。
そしてその隣に差し出された『ココリラエステート チーフアドバイザー 漆嶋A』と書かれた名刺。
結弦｢ほんとに、Aなんだね……｣
｢うん。改めて、担当の漆嶋です。よろしくお願いします｣
結弦｢うん。よろしく。……あー、超びっくりした｣
もう二度と会えないと思っていた、大切な仲間。
少し前に奈々美先生からニアミスの話を聞かされて。
会いたいと強く願うようになって。
それが、まさかこんな形で再会するなんて。
嬉しくてニヤける俺をよそに、Aはテキパキと資料をだしてテーブルに並べ始める。
そうだった。
本題は別にあるんだった。
Aは仕事中だ。
それにここを借りていられる時間も限られてる。
緩んだ顔と気持ちを一旦引き締め直して、並べられた資料に視線を移す。
仕事モードのAは昔のようなホワッとした雰囲気はあまり感じられなくて、どちらかというとデキる女といった雰囲気だ。
そりゃ、１２年も経ってたら雰囲気だって変わるよな。
当時からしっかりしてる子だったけど、そこは今も変わってないのは嬉しかった。
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優里奈(プロフ) - 鹿さん» わ！鹿さん！私、鹿さんの作品読んでます！全部読んだけど、今『嘘と真実』読み返してます大好きです！『氷上〜』はどうしても過去を無視出来なくて慎重に書いてるけど、未来のお話なら自由に書けるな〜と思って始めました(^ ^)読んでくださってありがとうございます！ (2022年2月14日 20時) (
レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！かな？大人設定の羽生さんにわくどきしています！引退後のお話なんですね。楽しみにしています。頑張ってください＾＾ (2022年2月14日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優里奈 | 作成日時：2022年2月12日 23時
