氷上で煌めく太陽１１

５３７話 ページ46

ゆづくんは最初の４回転サルコウこそ転倒したものの、その後はミス無くファントムを演じていった。


だけど……

ファイナルのあたりから痛むって言ってたお腹の具合が良くないのかな？
ところどころで、動きのキレが鈍いかも？って思うところがあった。


フィニッシュ後、リンクサイドに戻るときにはお腹を押さえていたし、やっぱり痛いのかも……。


大丈夫かな？



ゆづくんの得点は192.50。

2位の小塚さんに20点近く差を付けて、1位になった。

合計でも、2位の昌磨くんに35点差という圧倒的な強さで優勝した。



理華｢やっぱり羽生くんだね。すごいや｣

知子｢3連覇とかそうそう出来るもんやないよね｣

｢そうだね……｣


表彰台の一番上で笑っているゆづくん。
優勝と連覇は嬉しいけど、お腹は大丈夫なのか気になって仕方ない。

練習のときも、たまにすごく辛そうに表情を歪めたりしてたから。


知子｢Aちゃん？どうかした？｣

｢え？｣

知子｢浮かない顔してる｣

｢そうかな？んー……練習仲間のゆづくんが優勝したし、同い年の昌磨くんが準優勝だから勝手にプレッシャー感じてるのかも(笑)｣

知子｢そうなん？珍しいね。緊張とかしないって言うとったのに｣

｢へへ……。今まではがむしゃらにやってきた感じだけど、やっと大人になってきたのかなー。色々考えるときもあるんだよ｣

知子｢Aちゃんはここ1年でガラッと環境変わったやろうしね｣


頑張りすぎて倒れんようにね、と微笑みかけてくれる知子ちゃん。天使かな……。

ゆづくんのお腹のことは内緒だから言えなくて、また小さな嘘をついちゃったのは申し訳ないけど。
こうやって気にかけて優しい言葉をかけてくれる仲間がいるってありがたいな。







今日の日程が終わってホテルに戻ってきて、ブライアンからゆづくんのことを聞かされた。

やっぱりお腹の痛みは強いみたいで、試合後はかなりしんどそうだったって。

明日、病院で診てもらうことになったみたい。


そっか。よかった。
お医者さんに診てもらったら安心だよね。

ゆづくんとも話したかったけど、もう部屋で休んでるっていうからやめておこう。

今日は頑張ったもんね。
今はまだ痛くて辛いかもしれないけど、少しでも休んで、明日しっかり診てもらってね。

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