氷上で煌めく太陽１１

５３３話【結弦side】 ページ42

女子の試合を見たかったけど、会場入りするには早すぎて。

まだホテルにいるんだけど、女子の試合の生中継が無いって知ってちょっと悲しい。

夜、男子フリーから生中継みたいだけど、どうせなら全部のカテゴリーの生中継して欲しかったな。

なんて願いは叶うわけないけども。


ネットの情報を逐一確かめるしか女子の結果を知る方法はなくて、さっきからスマホばっかり見てる。


落ち着け、俺。

今の暫定1位は樋口新葉ちゃん。
13歳ながら65点近いスコアでトップに立っている。


最終グループも順調に進んで、いよいよAちゃんの出番が来たみたいだ。

画面の文字でしか情報を追えないのが悔しいな。


自動で更新されるリザルト画面は、二度三度と更新されるけど未だ更新されず。


いま演技中なのかな。

Aちゃんのことだから緊張はしてないと思うけど。

どんな演技をしてるのかな。


あー！
自分の試合が無かったら会場まで一緒に行ったのに！


待っている時間がもどかしくて、意味もなく部屋の中をウロウロしてしまう。


結弦｢あっ、きた！｣


画面が更新されて、Aちゃんの結果が表示された。
ドキドキしながらその画面を食い入るように見る。


結弦｢……よっしゃ！｣


Aちゃんのスコアは74.47で、グランプリファイナルのPBをさらに更新してきた。


結弦｢PB更新とか、どんだけ凄い演技したの……くっそー！見たかったあ！｣


ベッドにゴロンと横になって一旦深呼吸をする。


落ち着け、俺！
これから試合だぞ。

AちゃんはPBを更新するくらい素晴らしい演技をしたんだ。


結弦｢……俺もやってやる。勝つ｣


よしっ、と気合を入れてベッドから起き上がり、PB更新おめでとう、とAちゃんにLINEを入れて自分も会場に向かう準備に取り掛かる。

Aちゃんに負けてられないな。

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