検索窓
今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:118,123 hit

473話【結弦side】 ページ32

画面越しに会うAちゃんは、時間的にももう寝る前だったのかな。
長い髪をおろしていて、ラフな部屋着っぽいのを着てる。


あの事故の後、俺の容態を知らせるニュースが全国に流れてすぐにカナから連絡が来た。


『生きててよかったね!まじで心配したよー。ゆづ、やっぱあんたバケモンだね(笑)』


この文面を見た時、カナらしい言い回しだなってクスッと笑ってしまった。
でもそのあとのメールを見て、なんとも言えない気持ちになったんだ。


『Aちゃんもすごく心配してたよ。「辛いのはゆづくん。私が泣くのは違う」って言って、ずーっと泣きそうなの我慢してさ』


エキシのリハの時だって、元気無くて必死で励ましたんだから!と、カナが俺のいない間のことを色々教えてくれた。


そんな話聞いたら、少しでも早くAちゃんに会いたくなって。
直接は会えないけど、俺は無事だよって伝えたかったし、Aちゃんの元気な姿を見たかった。


《あの時は、ゆづくんが死んじゃう!ってすごく怖かった。……棄権しなかったのもびっくりしたし、演技中はそんなに動いたらもっと体を痛めちゃうよ!って気が気じゃなかった》


そう言って困ったように眉を下げたAちゃんは、「でもそれがゆづくんらしいとこでもあるかな、って思った」と小さく笑った。


結弦「周りではいろいろ言われてるみたいだけど、俺は後悔してないよ。心配掛けたことは本当に悪かったなって思う。でも俺は大丈夫だから」

《NHK杯は、出場できるの?》

結弦「んー……そこはまだなんとも言えない」

《そっか……》

結弦「でも俺は出たい。ていうか出るつもりでいるから。また日本で会おうね」

《……うん。ね、ゆづくん》

結弦「ん?」

《絶対、二人でファイナル行こうね》


画面の向こうで小さくガッツポーズをするAちゃんが可愛くて、思わず顔が綻ぶ。


結弦「あたりまえ。俺の目標はファイナル連覇だから。Aちゃんもでしょ?」

《あたりまえ》


俺の言い方を真似してドヤ顔をしてくるAちゃん。
なんだか可笑しくて、二人であはは!と笑ってしまった。


《ゆづくんどうしてるかな?って思ってたとこだったから、話せてよかった》

結弦「俺も。Aちゃんの笑った顔が見れて安心したよ。そっち、もう寝る時間でしょ?あんま遅くなんないうちに寝なね」

《うん。じゃあ、またね》


ほんの数分のやりとりだけど、Aちゃんと話せて心が満たされた。

NHK杯、絶対出てやる。

474話《2014年 NHK杯》→←472話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (56 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
199人がお気に入り
設定タグ:羽生結弦 , 宇野昌磨 , フィギュアスケート   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

優里奈(プロフ) - エミルさん» 書いててちょっと(ほんのちょっとだけど)辛かったですー(:_;)やっぱり仲良しの二人が好きなので(^^)ここからはどんどん話が進んでいく予定です♪時間が許す時は、どんどんお話書いていきますね! (2021年9月5日 22時) (レス) id: bb1624f74d (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 主人公に厳しい展開にハラハラしましたが、羽生くんと仲直りできてよかったです(*´ω`*) 更新楽しみにしていますね。 (2021年9月5日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:優里奈 | 作成日時:2021年9月4日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。