氷上で煌めく太陽１０

４６３話 ページ22

初日のショートプログラム。

国際試合で初披露となったリベルタンゴは、最初のトリプルフリップとトリプルループのコンビネーションジャンプで完璧な着氷ができた。

スピンとステップも最初にしてはまずまずの出来だったけど、後半に持ってきたトリプルアクセルで着氷が乱れて膝をついてしまった。

スコアは66.72で最終的にリーザに次いで2位。



翌日のフリーでは、久しぶりに公式戦で4回転を入れた構成なので今でより緊張した。

その緊張がダイレクトに伝わってしまったのか、最初に入れた4回転トゥループは派手にコケちゃって。

いつもなら平気なのに、会場の｢あぁ……｣という声が妙に耳に残って、その後は散々だった。

フリーの得点は目を覆いたくなるような結果で、総合得点でもリーザに10点以上離されて2位で終わった。


昨シーズンより構成難度をグンと上げたけど、だからってこのスコアは酷い。


表彰式で笑顔を見せるリーザとは裏腹に、無理して笑顔を作ってる私。


リーザ｢A｣


名前を呼ばれて彼女の方を見ると、リーザは優しい笑顔でハグをしてくれた。


リーザ｢悔しいっていうのがすごく伝わってくるわ。……次は中国で会いましょ。その時はきっと、あなたはもっと強くなってる｣

｢リーザ……｣


ありがとう、と伝えると、リーザは優しく微笑んでもう一度ハグをしてくれた。


悔しいけど、次に向けて頑張るしかない。


ーーーーーーーーー



カナダに帰ってきて、お母さんに銀メダルを見せるとすごく喜んでくれた。

金じゃないのに、って言ったら、｢色はどうでもいいの。Aの頑張りが、こうして形として残るのが嬉しいの｣と本気で喜んで、しまいには泣き出してしまった。

大げさだなあ、なんて思いつつ、そうやって喜んでくれることが嬉しかった。



｢あ、ゆづくんにも一応メールしとこ｣


表彰台の一番上！とか大口叩いといてかっこ悪いけど、報告くらいはちゃんとしとかないと。


《今日帰ってきたよ。結果は知ってるかもだけど、銀メダルだった。応援してくれてありがとね》


そう送ってベッドで目をつぶってぼーっとしてると、すぐにゆづくんから返信が来た。


結弦《おつかれさま。ブライアンが、Aちゃんがすごく悔しがってたって言ってた。だけど頑張った結果の銀メダルだよ。おめでとう。明日からまた一緒に練習頑張ろうね》


ゆづくん……なんて優しいの。
うん、中国杯でリベンジするために頑張るよ。

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