8話 ページ9
えっ?
羽生くんが私の名前呼んだの?
私のこと、なんで知ってるの?
ていうか、本物?
状況がうまく飲み込めなくて、今の私はきっと間抜けな顔をしてたんだろう。
羽生くんがフッと笑って「口閉じて」って言うものだから、慌てて口を閉じた。
「はじめまして!加賀美Aです!」
結弦「はじめまして。羽生結弦です。演技してるときとは別人だね(笑)」
そうやってやわらか〜い笑みを浮かべる羽生くんにつられるように、私も思わずヘラッと笑う。
結弦「中学2年生なんだって?」
「はいっ」
突然の羽生くん登場に緊張しすぎて、返事以外の言葉が出てこない。
やばー……
顔ちっちゃ!
お肌つるつる!
スタイル良すぎ!
結弦「今回も4回転、跳ぶの?」
「え?まあ、そのつもりですけど……私が4回転跳ぶって知ってるんですか?」
結弦「知ってるよ〜。見たよ、全日本ジュニアの演技。俺のジャンプを手本にしてくれたんでしょ?インタビューで言ってたじゃん」
わー!
うわー!
そんなことまで知ってるの!?
本人の口から言われると恥ずかしいんですけど!
緊張と恥ずかしさで頭がパンクしそうになってると、誰かが羽生くんを呼んでる声がした。
結弦「あ、俺行かなくちゃ。じゃあね、頑張って」
「はいっ」
バイバイ、と小さく手をふる羽生くんに頭を下げて、会場をあとにする彼の後ろ姿をぼーっと眺めていた。
えー……?
羽生くんから話しかけられちゃった。
やば。
どうしよ。
私のこと知っててくれたなんて嬉しすぎる。
あ、「あなたは私の目標です」って伝えればよかった。
突然だったし、緊張しまくって何も考えられなかったよー!
興奮を抑えられないまま、荷物を持って足早にコーチの所へと戻った。
9話【結弦side】→←7話《2011年全日本選手権 開会式&滑走順抽選》
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作者名:優里奈 | 作成日時:2021年4月13日 22時