41話 ページ43
真奈「A、フィンランドどうだった?」
「んー、さむかった」
フィンランディア杯を終えて、久しぶりの学校。
相変わらず真奈は私がいない間のノートをしっかりと取ってくれていた。
休んでいた間の遅れを取り戻すべく、私は朝の自習時間を使って必死で頭に叩き込んでいるところ。
真奈「寒かったって(笑)そりゃフィンランドだもん。北欧だからここより寒いっしょ。まさか、10月の北欧舐めてかかったとか?」
「そんなことないもん。ちゃんと温かい格好してったし。それに寒いって言ってたのはゆづくんも一緒だもん」
真奈「え、誰?ゆづくんって」
「……あ」
久しぶりの地元で、気が緩んだ。
ついポロッと名前を出してしまったけど、ゆづくんは結構有名人。
そこらの芸能人よりも人気がある、って前にお姉ちゃんが言ってたっけ。
真奈「ゆづ『くん』ってことは男でしょ?もしかして羽生結弦?」
「……」
こういうとき、うまく誤魔化せるスキルが欲しかった……。
普段からフィギュアスケートが好きでテレビ中継なんかを見ている真奈は、ゆづくんが誰なのかすぐに分かってしまった。
真奈「A、羽生結弦と友達なの?ゆづくんって呼び合うくらい仲いいの?」
私、いま羽生結弦に注目してるんだよね!と興奮気味に言う真奈。
あんまり喋りすぎるとボロが出そうで怖い。
「たしかにゆづくんは羽生結弦だけど、仲良くなったというか、これから仲良くなろうって約束したというか」
真奈「なにそれ?どういうこと?」
「じっくり話したのは今回が初めてだったんだよ。大会に出てる日本人が私達二人しかいなかったのもあって、それで、いっぱい話すようになったというか」
真奈「へえ〜。それってフィギュアスケーター同士の特権だよね。いいな〜」
私は運動音痴だからスケートなんて無理だけど!という真奈には、連絡先を交換したことは黙ってよう。
結構ゴシップ好きだから、ゆづくんのプライベートとか聞かれたら堪らない。
真奈「ゆづくんはまあいいとして、A、銅メダルおめでとう。また一つコレクションが増えたね」
「もっともっと増やすよ。それでソチオリンピックに出て、メダル獲るの。そしたら真奈にもメダル掛けてあげるね」
真奈「A〜!嬉しい!頼むよ!応援してるから!」
もっともっと練習して、絶対に金メダル獲るからね。
355人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:優里奈 | 作成日時:2021年4月13日 22時