氷上で煌めく太陽 (ページ37)

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３５話ページ37

世界選手権、男子は高橋選手が２位、羽生くんが３位と、表彰台に日本人選手が２人という結果に。

｢すごいな……｣

羽生くんはフリーで２位になった。
トリプルアクセルの着氷がとても優雅で、余裕が感じられた。

途中、つなぎのところで転んじゃってヒヤッとしたけど、その後の演技はそんなアクシデントなんてなかったかのように落ち着いていて。
ステップのときの気迫あふれる表情が目に焼き付いて離れない。

演技終了後のガッツポーズ。
そしてホッとしたような表情。
泣いていたんだろうか。目頭を押さえるような、顔を隠す仕草でリンクサイドへ引き上げていった。

羽生くんはこの時点でシーズンベストを出して暫定一位。
スコアを見て驚く様子は、演技をしていたときとは違って17歳の羽生結弦に戻っていた。

その後に行われた女子フリーでは、明子さんが3位で銅メダル。
佳菜子ちゃんは5位で、真央ちゃんが6位だった。

｢いいな。私も早くスケートしたいな……｣

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コーチ｢おかえり、A｣

｢またよろしくおねがいします｣

4月の末。
中学3年生になった私はホームリンクに戻ってきた。

やっと本格的にスケートができる。
嬉しくて堪らなかった。

コーチ｢張り切りすぎないでよー？陸トレしてたとはいえ、氷の上となると全然感覚は変わってくるんだから｣

｢はいっ｣

練習着に着替えて、ストレッチを念入りにする。
捻挫や脱臼は癖になるっていうから、できるだけその可能性を無くすためにできることはやるんだ。

久しぶりのリンク。

一歩蹴り出してリンクを周回する。

あー、この風を切る感じ。なつかしい。

ウォーミングアップを兼ねて、ジャンプ以外の技を軽くやってみる。

うん。感触は悪くない。

コーチ｢ジャンプはダブルからいってみようか。しばらくは軽めの調整ってことで｣

｢はいっ｣

軽めでもなんでも、また滑れるようになったことが嬉しかった。
練習が終わったあと、佳菜子ちゃんに｢今日からリンクで練習再開したよ｣とメールしたら、｢よかったあー！おめでとう！！！｣とハイテンションの返事が返ってきた。