26話 ページ28
まだまだ私の紹介映像は続いてて、一体どんだけ晒したら気が済むんだ……といい加減見てるのがこっ恥ずかしくなってきた。
《そしてなんと言っても、このビジュアル!中学生とは思えない大人っぽさが、また彼女が注目される所以でしょうね〜》
ビジュアル……
「私、学校で「怖そう」とか「近寄りがたい」とか言われるんだけど」
姉「あんたのその魅力は、同世代には分からないんだろね。いいじゃん。こうやって世間では受け入れられてるんだもん」
そんなもんなのかな?と思いながらテーブルにあった柿の種をつまむと、「ちょっと!あたしの柿の種とんないでよ!」と手を叩かれた。
一個くらいいいじゃん!と言おうとしたのに、お姉ちゃんの意識はすでにテレビにいっていて。
姉「あ!羽生くん!」
なんて言うものだから、私もつられてテレビに目がいく。
《羽生選手といえば、全日本の滑走順の抽選後に記者の間で話題になったのがこちら》
「あ、あのときの……」
テレビで流れているのは、羽生くんが抽選会場をあとにする前に私に話しかけてきた時の映像。
こうしてみると、羽生くんって顔ちっさいなー。
私、めちゃくちゃアホ面してんじゃん。
姉「あっは!Aの顔ウケる!」
「仕方ないじゃん!まさか話しかけられるなんて思わなかったんだしっ」
《出場者が会場をあとにする中、羽生選手が加賀美選手に近づいていって声を掛けていました。どうやらこの時が初対面だったようなんです》
《加賀美選手は羽生選手のジャンプを手本にしていると言っていたので、本人から声をかけられて驚いたんでしょうね。映像を見ただけでその様子が良くわかります》
《羽生選手のにこやかな笑顔と、加賀美選手の緊張した様子がなんとも微笑ましい一面でした!》
今後の二人の演技に注目!なんてナレーションを残して、私の特集(?)は終わった。
「最後の映像いらなくない?」
姉「えー?Aはともかく、全国の羽生くんファンは試合以外の裏側を見られて喜んでると思うよ?」
「……」
最初の一言が引っ掛かったけど、確かに……と納得してしまう。
高校生でファンがいるなんて、羽生くんはすごいんだな。
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作者名:優里奈 | 作成日時:2021年4月13日 22時