氷上で煌めく太陽 (ページ23)

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２２話ページ23

《続きまして、全日本選手権3位、加賀美Aさん》

名前を呼ばれ、勢いよくリンクイン。
観客へ手を振りながら、中央でポーズを取る。

曲は、ゆずの『逢いたい』

もう二度と会えない人への想いを込めて。
大好きな友達のことを想いながら、天国へ届けとリンクの上で舞った。

演技が終わったあと、我慢していたはずの涙が溢れてきた。

笑おうって言ったのに。

やっぱり友達の死というものは簡単には割り切れない。

リンクサイドに向かうと、入れ替わりで羽生くんがリンクイン。
羽生くんは、すれ違いざまに｢最高だったよ、おつかれ｣と私の頭をポンと叩いた。

もう限界。

リンクサイドに戻るやいなや、体に力が入らなくて崩れるように床に座り込んでしまった。

出番を待っていたカナちゃんと小塚選手が、｢大丈夫？｣と肩を貸してくれて。

なんとかエッジカバーを付けてバックヤードへ戻った。

｢はあ……っ、……はあ……｣

いつもより息が苦しい。
普段はこれくらいのスケーティングじゃこんなに苦しくならないのに。

控室に戻るのも辛くて、通路の途中で壁にもたれるように座り込んだ。

なんだこれ……？
だんだん、息があがってくるし、、、

真央｢ちょっと！Aちゃんどうしたの！？大丈夫！？｣

｢まお、ちゃ……なんか、いきが、、くるしくて……｣

そこへもう一人、出番を控えた高橋選手が通りかかった。

私の様子を見て、｢過呼吸起こしてる。落ち着いて、ゆっくり息をして｣とそばについててくれて、真央ちゃんは高橋選手の指示でスタッフを呼んできてくれた。

真央ちゃんと高橋選手のおかげで、スタッフから応急処置を受けて医務室へ向かった。

心配そうに見つめる真央ちゃんと高橋選手。
申し訳ないことしちゃったな。あとでちゃんとお礼言わなくちゃ。