氷上で煌めく太陽 (ページ16)

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１５話ページ16

｢めっちゃ気持ちよかったー！｣

４回転サルコウは試合で初めて跳んだ。

練習では、完璧とは言えないけどいい感触は掴めてた。
成功率も少しずつ上がってたし。

そうなると挑戦したくなるのが私なの。

結果は……

まあ、今はこんなもんかな。

ちゃんと着氷したかったけど。
転ばなかっただけヨシとしよう。

そしてなにより、暫定１位！
パーソナルベストを大幅に更新したのはびっくりだったけど、やっぱり嬉しい。

嬉しすぎて、飛び跳ねて喜んだ。コーチとも抱き合って喜んだ。
キスクラで、周りのお客さんにもありがとう、とお礼を言った。

その後も選手の演技は続いて、私の点数を超えたのは浅田真央ちゃんと鈴木明子さん。
フリーで３位。
総合でも３位に入って、初めてのシニア挑戦でメダルを獲得することができた。

表彰式。
リンクにセットされた表彰台に１位の浅田真央ちゃんと、２位の鈴木明子さんがあがる。

そして、

《３位、加賀美 Aさん》

名前が呼ばれて、リンクサイドから表彰台へ向かう。
拍手の中で迎えられて、表彰台の一番低いところにあがった。

隣には、ずっとテレビで見てきた二人の選手。
私が同じ場所に立ってるなんて夢みたい。

最後に3人で写真に収まって、表彰式は終了。

真央｢Aちゃん、すごかったね。4回転サルコウ｣

リンクからあがってすぐ、真央ちゃんのほうから声をかけてきてくれた。
テレビで見たまんま、優しいお姉さんな雰囲気。

｢ありがとうございます！浅田選手にそう言ってもらえて嬉しいです！｣

真央｢まお、でいいよ〜。来年はシニアにあがるの？｣

｢はいっ。5月に15歳になるので、来シーズンからはシニアに転向します｣

真央｢そっか〜。じゃあまた一緒に戦えるんだね。楽しみに待ってるね｣

じゃあね〜、と言って浅田選手はインタビューブースに向かった。

わー。
真央ちゃんと喋っちゃった！
鈴木選手とは一緒に写真も撮ったし、シニアの大会ってすごい。

って、ミーハーになっちゃってるよ。

来年は私もこの人達と同じ舞台で戦うんだから、浮かれるのは今だけ。

真央ちゃん、鈴木選手とインタビューが終わって、次は私の番。

4回転のことや初めてのシニアで3位に入った感想などを聞かれて、バカ正直に、浅田選手が声かけてくれて嬉しかった、鈴木選手と写真撮って喜んだ……とミーハーを暴露したのは、テンションが上ってたからってことにしておこう。