氷上で煌めく太陽 (ページ12)

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１１話ページ12

男子の試合を観たあと、ホテルに戻る前にインタビューがあると聞かされていたので、指定された場所に向かう。

おっと。
かなりの人数がいるぞ。

｢ね、私あの大勢の中で喋るの？｣

全日本ジュニアのインタビューの時より多いカメラとマイクにびっくりして、コーチに聞いてみた。

コーチ｢そうだよ〜。頑張って！私はここで待ってるから｣

｢インタビューって苦手なんだよな〜。どこ見たらいいかわかんないんだもん｣

コーチ｢そんなの、カメラ目線でいいじゃない(笑)｣

｢もうっ。他人事だと思って！｣

ケラケラと笑うコーチにあっかんべーをして、心の中で気合を入れてインタビューに向かった。

《お疲れ様です。いよいよ明日本番を迎えますが、加賀美選手の意気込みを聞かせてください》

｢えっと……初めてのシニアの大会なので、先輩方に挑戦する気持ちで、思いっきり滑れたらいいかなと思ってます｣

《今日の午前中の練習ではジャンプも好調でした。上位に食い込む自信はありますか？》

｢やってみないと分からないけど……少しでも上に行けたらいいなって思ってます｣

よしよし。
この辺はよくある質問だから、噛まずに答えられたぞ。

《昨日の抽選のあと、羽生選手から話しかけられてましたね。どんなお話をされたんですか？》

｢えっ。あのー、はじめまして、的な感じ……ですかね。お互いの存在は知ってたんですけど、会ったのは昨日が初めてだったので｣

ちょっとちょっと！
そんな質問想定してないって！
私と羽生くんの絡みなんか聞いてどうするの？誰も興味ないでしょうよ。

せっかくいい感じで話せてたのに、動揺して噛んじゃったよ。

《加賀美選手は羽生選手のジャンプをお手本にしているということでしたが、本人に会ってみていかがでしたか？》

｢えぇ〜……突然話しかけられて、緊張しちゃったのでよく覚えてないです(笑)｣

《先程まで男子のショートプログラムを観てたとのことですが、間近で見た羽生選手の演技はどうでした？》

｢羽生選手に限らず、シニアのレベルはやっぱり高いなって思いました｣

《明日の女子ショートプログラム、加賀美選手の演技楽しみにしてます。ありがとうございました》

｢頑張ります！ありがとうございました！｣

ペコリと頭を下げて、記者の群れから離れる。

冷静を装って退散したけど、めちゃくちゃ心臓バクバク！
みんな、試合のたびにこんなインタビュー受けてるなんてすごい……。