家系能力 愛 【魔入間】

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拷問学

Aが想像していたよりも人畜無害そうな悪魔が出てくる
カルエゴ先生の方がよっぽど拷問してそうな雰囲気だ、とは他の悪魔も思ったが口を塞いだ

この場にハニエル･Aが一人でいる事に驚いた
ウァラク･クララと一緒に居るものだと思っていたのだから
あんなにも綺麗な美しい容姿の彼女が、拷問学の話だなんて聞けるのか？大丈夫だろうか



そんな周りの悪魔の心配なんて杞憂に過ぎない






「ええと、それは耐え難い痛みなのでしょうか」




「大体はこの方法で手がけるより先に吐いてくれるよ」



「ふむ...」



Aにとって主君の情報を洩らすということは
それ即ち 死に値する

主君の情報を洩らすくらいならば、拷問にかけられてそのまま死んでしまった方が最善
痛みから逃れるために、己の保身の為に吐いてしまう事が理解できなかった



どれだけ質問しても、彼女は納得がいかないと言うように眉を寄せている
そんな様子のAを見てマルバス先生は口を開く




「うーん、君の場合特別だからね...じゃあこうしようか
君には、傷一つつけないし殺しもしない」



「...？それだと何も」

代わりに、君が一つ答えない度に君の大切なヒトを殺していく




そう言われ、Aは瞬時に意味を理解できなかった
彼女にとって大切とは



「大切なもの...」




確かに、彼は紛れもない拷問学の教師だ
これなら痛みを感じない悪魔でも、堪えるものがある

けれどハニエルにとって大切な事は、主君に仕え役に立ち最後まで尽くすこと
誰も手を出すことが出来ない魔王様を壊すなんてことは、誰にもできない
ハニエル･Aに、そういったヒト質に取られて困るような存在なんてものは.........




＿＿＿ハニち！




一瞬、頭に過ぎるあの子の声、表情、仕草
今最も彼女の弱点ともいえる存在





「どう？これも君にとっては効かないか」



「いえ、.....これは、私にも効きました」




大切だとかそういったものは、明確に理解し難い
他人がどうなろうと私にはなんの関係もないのだから



けれどもし、あの子に危機が及んで
たった一人で泣いてしまうなんてことがあったら




「(それは、嫌)」

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