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「次のニュースです。先日、元女優のチェ・ジアさんの娘のAさんが誘拐されました。警察ではすでに極秘で捜査が始まっているとのことです。」
空気が凍りつくのが肌で感じられた。
テヒョンさんは後ろ姿しか見えないけれど動揺しているのが分かる。
「いやぁ、あの大女優の娘ですからね。さぞかし綺麗な方なんでしょうね。」
「捜査されていることが発表されたということは、もう犯人には近づいているということでしょう。娘さんが無事であることを祈るばかりです。」
テレビでは評論家を気取ったタレントたちが架空の完璧な娘の私を作り上げて勝手に無事を祈っている。
テヒョンさんのもとへ駆け寄り抱きついた。
「テヒョンさん、」
私の体は震えていて。
「大丈夫。僕がどうにかするから。」
震える私を宥めるように優しく体を撫でてくれた。
きっともうどうにもならない。
そんなことはお互い分かっている。
どこに逃げたっていずれは捕まるんだ。
遠くに行きたい。
誰も知らない。誰にも邪魔されない場所に。
いつだっけか。前にもこんなことを思った気がする。
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作者名:vivi | 作成日時:2019年3月21日 22時