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キィと古そうな音を立ててドアを開くと、そこには机と椅子と写真たてがあった。
机には一つ大きな引き出しがついていてそこを引くと、折り紙で折ってある鶴や、クレヨンで4人家族が描いてある絵があった。
絵の中にはお父さんとお母さんらしき人。
そして男の子と女の子がいた。
みんな幸せそうに笑っていた。
写真たてをみるとそこにも4人家族が映っていた。
お父さんとお母さんらしき人。
そして女の子とテヒョンさんの面影がある男の子。
みんな高級そうなスーツや落ち着いたドレスを着ていて見ただけでお金持ちなことは分かる家族写真だ。
ただ絵と違うのは誰も笑顔じゃないこと。
みんな目に光がなくてお世辞にも幸せそうな家族とは言えなかった。
その時、
「ただいま」
玄関の方からテヒョンさんの声がした。
急いで引き出しを閉め、部屋を出た。
「おかえりなさい」
「今日はね、なんとなくハンバーグが良かったからその材料買ってきたよ。」
「珍しいですね、リクエストなんて。」
「なんとなく食べたくなったんだよね。」
ドサドサとキッチンに積まれていく食材。
全て出し切ったあとテヒョンさんはソファに座りテレビをつけた。
いつもの光景。
今のところニュースに私の名前が上がってないところを見ると家族にとってやっぱり私なんて必要なかったんだと少し落ち込んだ。
けれど、今日になって初めてわたしの名前が出ることになる。
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作者名:vivi | 作成日時:2019年3月21日 22時