短編集 (ページ1)

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君を救いたいページ1

君はいつも、いつの時代でも、僕の目の前で死ぬ

ある時は鉛玉に頭をブチ抜かれて即死

またある時は結核にかかり病死。

またまたある時は川で溺れ溺死。

またこの時代も、僕は。君を助けられず、後悔して老いて死んでゆくのだろう
なんて残酷な運命なんだ。

「ねぇってば！聞いてる？」

ハッとし顔を上げると、先ほど僕があたりを出したアイスキャンデーを持った君が立っていた。

いつの間に引き換えてきたんだろうか。
僕はそれに気付かない程に考え込んでいたらしい

「…ううん、何も無いよ」

君はアイスキャンデーの片割れを僕に差し出す。でも、正直のところ、僕はあまりアイスキャンデーは好きではない。
しかし僕は嬉しそうに君が差し出したアイスキャンデーを受け取る。

君はこの甘ったるい氷の塊を、嬉しそうに食べている。
僕はそんな君をみて、真似て食べるが、冷たすぎて味さえ分からなかった。
僕の味覚はどうなってしまったのだろう

「どこか遠くに行こうか」

僕がそう呟くと、君はアイスキャンデーを食べるのをやめた。
暫くの沈黙の間にアイスが溶けて滴る音と、風の心地よい音が聞こえた

「どこかって？」

君は僕と目を合わせずに答える。
それは決まってるよ、誰にも邪魔されない。
君が死なない何処かさ

「嘘嘘、冗談だよ」
しかし、そんなことは言える訳が無い。
僕は唇が紫色になりながらも、またアイスキャンデーを噛じった。

ほんの少し、塩の味がした

今日も僕は、君が死なない方法を考える