眩むほど、青く。 (ページ6)

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「一緒に逃げよ！！」

てつやが私達の前を駆け抜ける直前、いきなり手首を掴まれて、走るてつやに半ば引きずられる形となる。当然転びそうになり、慌てて足を動かした。

「はぁ！？」

としみつは私を道ずれにしたてつやの行動に呆気に取られた後、ワンテンポ置いて私とてつやを追いかけてきた。

「お前らもか！止まれ！！」

先程よりも怒気を含んだ声が後方から聞こえたが、恐ろしくて振り返ることが出来ない。でも、私の手を掴んだまま走るてつやの横顔が、やけに楽しそうだったから、すべてがどうでも良くなった。

『ははっ、』

笑い声に振り向いたてつやと目が合う。何か言いたげだったけれど、それを遮って叫ぶ。

『急げ！！！』

全力を振り絞っててつやを追い越す。今度は私が掴んだ手を引っ張る番だ。一瞬きょとん、とした後楽しそうに笑ったてつやは、足を早めてまた簡単に私を追い越した。

「ふざけんな、はええっつの！！」

「しょうがねぇな、ほら！」

文句を言うとしみつの手を同じ様に掴み、両手に人を引き連れて走るてつやはとても奇妙に見えたと思う。

バカだなぁ。

でも、楽しくて仕方ない。

私達は生徒の注目を集めながら、全力で廊下を駆け抜けた。

「なんとかまいたか...？」

先生と鬼ごっこを始めて数分、漸く立ち止まった場所はひと気がない裏庭のような場所で、生い茂る緑の中にテーブルとベンチがぽつんと置いてあった。

『うわ、こんな場所あったんだ。』

「そう！ここ見つけてさ、早くお前らに知らせねぇとと思ってダッシュしてきた！」

「別に走んなくてもよかっただろ...」

「他の奴らに場所取られたら嫌やん！？」

なんともてつやらしい理由で、思わず笑ってしまう。

『これからお昼はここ集合ね！』

「異議なーし！」

そうして、てつやの隣、としみつの斜め向かいに座りお弁当をつつく。

「そういや今日委員会やん」

『あ、放課後は下駄箱で待ち合わせようってさっきてつやと話してたんだ。』

「りょ。」

「としみつ何委員？」

「風紀委員」

『まって、ぽくなさすぎ』

予想外の答えにお腹を抱えて笑えばギロりと睨まれる。

「ぽい委員ってなんだよ。似合うも似合わないもないやん」

『じゃあてつやの委員会聞いてみ？』

「なに」

「俺企画委員！」

「は、それは似合いすぎ」

企画委員とは、学年、学校全体のレクリエーションを企画、準備する委員会なのだが、それがあまりにもてつやっぽくて、としみつも吹き出すように笑った。