眩むほど、青く。 (ページ5)

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第２話本音は全て葬ってページ5

「今日は放課後に委員会あるからなー。各自所属してる委員会の集まりがどこでやるのか確認しとけよ。」

眼鏡をクイッと持ち上げてSHRの最後にそう告げた教師は、出席簿を持って教室を出て行った。

「めんどくせぇ～！！」

聞き慣れた声が聞こえてそちらを見ると、机に突っ伏しているてつやとそれを見て笑う男子生徒が数人。

入学式から早くも2週間が経ったわけだが、
てつやは持ち前の明るさですぐに多くの友達を作り、私と行動を共にしていたのは最初の2日間だけだった。

「Aちゃん、次音楽だよ。移動しよ。」

そんな私にも無事友達ができ、一人ぼっちになることは回避したのだが。
音楽の教科書と筆箱を取り出して、友達の元に駆け寄る。教室を出るためには廊下側の一番前の席に座るてつやの前を通らなければならない。

「A、」

教室の扉に手をかけた時、てつやに呼び止められて動きを止める。

「委員会終わったら下駄箱前待ち合わせな。」

『了解。』

寂しい気持ちはあれど、こうやって人目を気にせず話し掛けてくれるてつやの真っ直ぐさに救われていた。

「Aちゃんとてつやくんって中学同じなの？」

音楽教室に向かう道中、友人にそう聞かれた。

『んー...幼馴染みたいな感じ。親同士が仲良くてさ。』

「そうなんだ！いいなー…私も幼馴染欲しかった。」

『そんないいもんでもないよ。』

笑ってそんなことを言ってみるけど、彼らのいない私の人生なんてもう想像つかないくらいには、長い時間を一緒に過ごしてきた。
廊下の窓からは漸く咲き始めた桜が見えて、花見でもしたいなと思った私の脳裏に1番に浮かんだのは、勿論あいつらだった。

「A」

4限目終了のチャイムがなり、お弁当を持って辺りを見渡すがてつやの姿がない。
教室後方のドアから顔を出したとしみつに呼ばれ、2人で廊下に出て壁に寄りかかるようにして立つ。

「てつやは？」

『分かんない。いなくなってた。』

「はぁ？」

『先に食堂行っとく？どうせあとから来るでしょ。』

そうだな、ととしみつが頷いたと同時に、ドタバタという足音と先生の怒号が廊下に響く。

「おい、廊下は走んなって何回言えばわかるんだお前は！！！！」

「先生ごめんって～」

聞こえた声にギョッとして振り返ると先生に追いかけられて走るてつやとバッチリ目が合う。

「あっ！としみつ！A！」

「バッ、話しかけんな！」

てつやが私たちの名前を呼んだおかげで先生の顔がさらに鬼のように歪む。