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すっかり体調も回復して、退院したその足でわたしは事務所に向かった。プロデューサーさんに、面と向かって卒業の旨を伝えると、引き止められはしたが受け入れてくれて、発表時期や卒業コンサートの話をした。
外に出ると、まだ冬だと思い込んでいたのに、肌寒さはなくなっていて心地よい春の風を感じた。
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『神宮寺さん。』
「ん？」
なんともないような顔でわたしと向き合う彼。自分がやらかしたことを何も覚えてないのだろうか。いらっとしながらも、笑顔を見せると微笑み返してくる。
『……ほんとは、誰から聞いたんですか？』
「ん？……あー、内緒。」
『言ってください。気が済みません。』
わたしが本気で言っていることを察して、彼は溜息をつく。その瞬間笑みは消え、見たことのない暗い表情になる。
「聞かない方が身のためだよ」
『は？…どういう意味ですか。』
「聞いたら傷付くのはAちゃんてこと。」
曖昧な表現しかしない彼にムカついて、いよいよ壁に押しやって迫る。驚きながらも落ち着いている彼に、もう一度目を合わせると、俯いて少し考えたあと、また顔を上げる。
「もう廉とは付き合ったの？」
『……今関係なくないですか？』
「否定しないんだ。…へぇ。」
ぐいっと手首をひかれて、今度はわたしの背中が壁についた。完全に視界は彼で覆われて、少し鳥肌が立つ。
「廉にも話したわけ？この話。」
『…………。』
「まだなんじゃん。じゃあ、言わないつもり？」
核心ばかりついてくるからどんどん何も言えなくなる。顎をクイッと持ち上げられて無理やり目を合わされると、彼は意地悪そうに笑った。
「俺と付き合ってよ。」
『………嫌です。』
「じゃあ、この話廉にするけど？」
人間性を疑う、言葉だった。次に反抗しようと顔を上げたら彼の顔がすぐ目の前にあって、キスされる。驚いて固まったわたしを見て、彼はまた笑った。
「……きまりね。」
その場を離れる彼の後ろ姿が、ひどく憎かった。
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ささら(プロフ) - ドレミさん» 楽しんでいただけて嬉しいです、！ぜひ最後までよろしくお願いします^_^ (2020年5月5日 20時) (
レス) id: 2c41b8cfc0 (このIDを非表示/違反報告)
ドレミ(プロフ) - 廉くんが好きだけどやっぱり優し過ぎる神宮寺くんも捨てきれない！！どうしよう！と、この作品を読む度に妄想してしまいます。これからも更新楽しみにしております！ (2020年5月3日 21時) (レス) id: 1205e7c587 (このIDを非表示/違反報告)
ささら(プロフ) - あずさん» 有難いお言葉です、、本当にありがとうございます。ぜひ最後までお付き合いのほどよろしくお願いします！！！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: 2c41b8cfc0 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - 設定がとても好きです。もっと評価されるべき作品だと個人的に思っています。続きも楽しみにしています！ (2020年4月7日 0時) (レス) id: fe82437d4e (このIDを非表示/違反報告)
ささら(プロフ) - renna0123yuさん» ありがとうございます！！！！(＞＜) (2020年3月14日 11時) (レス) id: 2c41b8cfc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ささら | 作成日時：2020年3月10日 20時
