─ Solitude ─

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袖に戻ってから、神宮寺さんを睨みつけると耳元で意地悪く呟かれる。






「…………今日も綺麗だと思うけど？」




『っ、あなたには何もわからない！』






思わず荒げてしまった声は、大して周りには響かなかったが、少し前を歩く永瀬さんには聞こえたようで振り向かれてしまう。バツが悪くなって先を歩こうと早足になると、今度は永瀬さんに腕を捕まれどこかに連れられる。






『ちょ、っと！』






使われていない倉庫みたいな部屋。暗がりで壁に押し付けられると、尋問されてる気分になる。廊下からはたくさんの人の声や足音。ヒヤヒヤしないわけがなかった。





「……なに、秘密って」




『…お願い、離して』




「教えてくれるまで離さない。」





子供みたいな我儘だけれど手首を抑える力はかなり強くて、逃げられそうにはなかった。けれど、わたしだって教えるつもりはない。沈黙が続くと、彼の顔が近付いてきたから避けた。






『…都合のいい女だと思ってるんでしょ』




「っ、そんなわけ！」




『…………恋人でもないのに、探ろうとしないで。』








これ以上一緒にいたら、ダメになってしまう。もう突き放すしか方法はなくて、少し酷いことを言った。手が緩んだすきに走り出しても、彼は追ってこなかった。自分でしたことなのに涙が溢れる。





自分が怖い。

どうしようもないくらい永瀬さんが好きだ。






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