水を向ける (ページ16)

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少し変ったページ16

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「今日さ、遅いし泊まってく？」

洗い物をしている最中に言われた

お皿を落としそうになる

えぇえ！

まさか卓さんがそんな発言をするとは思っていなかった私が、あたふたしていると

「そんなあからさまに動揺するかね」

良い意味で、本当にこの人は不思議だ

さっきまでしゅんとしていたかと思えば、すぐに切り替え、泊まってく？なんて言う

やっぱり、いつも思うけど想像していた人と全く違う

真面目でクールでつんつんしているかと思っていた

インターネットで調べてみれば、イケメンやら、北のプリンス(あ、遥輝もなのかな)やら、ゴリラやら……

知り合ってみたら、彼の性格が分かってくる

標準語も博多弁も話せて、面白くて、よく笑う人

あと、積極的ともいうのかな？

やっぱり、分からないことも多い

遥輝と拳士はどうなんだろとも考えていた

はっ、と気づき視線を元に戻す

時間も遅いし、暗い中帰るのも…

「よし、決まった、泊まっていって」

「後、俺お風呂入りたい」

『お風呂…？』

「ちゃんとお湯に浸かりたい」

『そういうことですか』

少し笑ってしまう

子供のようなこと言うんだなと思った

私に決定権はなく、勝手に決められたが、家に泊まるのは嫌ではなかった

『じゃあ、お風呂沸かしておきます』

ほんの十分程度で、お風呂が沸いた

卓さんの家の浴室の大きさ、やばい

『じゃあ、何かあれば呼んでください』

「はーい」

足にはビニール袋のようなものを巻いてけんけんをしながら脱衣場へ入っていった

私はシャワーの音を聞いてからタオルと着替えを持っていく

『今日は色んなことがあったな…』

脱衣場を出てから今日あった出来事を一つ一つ思い出す

遥輝と拳士には会うし、卓さんに抱きしめられるし、人生で一番混乱した日とでも言える位だ

「Aーー」

「背中、洗ってー」

急に浴室に響いた言葉は私が予想していたものではなかった

背中を流したのは小さい頃に父と母くらいだ

やっぱり、卓さんの扱い方は難しいです

『…はーい』

声が少しだけ裏返る

今日一の、緊張だよ……

また、ドアを開ける前に深呼吸をする

『お、お邪魔します…』

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貴方の匂いが広がる